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【香港】フィッチが香港格下げ、中国の影響力も理由[経済](2020/04/22)

米英系国際格付け大手のフィッチ・レーティングスは20日、香港の長期外貨建て債券の格付けをこれまでの「AA」から「AAマイナス」に1段階引き下げたと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済面の打撃に加え、中国中央政府の香港に対する影響力が強まっていることを理由に挙げた。

アウトルック(見通し)は「ネガティブ(弱含み)」から「ステーブル(安定的)」に変更した。

フィッチが香港を格下げするのは、2019年9月に長期外貨建て債券の格付けを「AAプラス」から「AA]に下げて以来。同社は再格下げに踏み切った理由として、まず新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済的打撃が、19年後半の社会的混乱に続く「第2の荒波」として襲い掛かっていることを挙げた。

入境制限や集合制限に代表される香港政府などによる感染拡大防止に向けた取り組みは、経済活動の縮小や失業増を招き、財政支出は急拡大している。フィッチはこれが19年の反政府運動をきっかけに広がったビジネス環境や政治的安定性への疑念と重なり、信用力に悪影響を与えていると指摘した。

今年の香港の実質域内総生産(GDP)成長率はマイナス5%に沈むと予測している。一方、21年は世界的な景気回復の流れに乗ってプラス3.5%成長になると見込んだ。

今回の格付け引き下げに際してフィッチは、香港が抱える政治面、社会面の根深い問題が依然として解決されていないと注意を喚起した。その上で、香港と中国本土の経済面、金融面、社会・政治面の連携が深まり、中国中央当局の発言力が1997年の返還以降、かつてないレベルで強まっていることを反映させた判断だと説明した。

■政府は失望感、反発も

香港政府報道官は20日、フィッチの格下げに対し失望感を表明。同社が政治的・社会的要因を理由の一つに挙げたことについては、「これらの問題を大げさに捉えている」との見解を示し、香港の経済と金融市場の安定性を十分考慮していないと不満を隠さなかった。

香港と本土の経済・金融面の関係が日増しに強まっていることが格付けに不利に働くとのフィッチの指摘に対しては、「(政治・社会問題に対する指摘より)さらに事実に基づいていない」と反発した。

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