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【ベトナム】【NNA景気指数】ベトナム 2020年第2四半期予測[経済](2020/04/21)

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。
NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。
両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。
NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

NNA景気指数=NNA景気状況指数(NNA CI)とNNA景気動向指数(NNA DI)により構成される。 NNA CIは景気の量感(景気の山、谷等)を表し、NNA DIは景気の方向性を示す。 両指標ともNNAのベトナム経済に関する記事をセンチメント分析するとともに、マクロ指標と組み合わせて算出している。 NNA DIでは最新月を含めた過去3カ月におけるDIの平均値により、以降3カ月の景気の状態について判断している。判断基準は下記の表によっている。

■新型コロナで3月急減速

・NNA DIは0%に

・成長率は過去最低更新も

・スマホ・車の生産が停止

・輸出は底堅さ見せる

<経済アナリストの目>

新型コロナウイルス感染症の感染拡大はベトナム経済に大きな影を投げかけている。

1月13日、中国の武漢から入国した中国人の感染事例が報告されて以降、当局は国境検疫を強化するとともに国内においても感染拡大に備えた各種対策を準備してきた。

隣国中国での状況を踏まえて、ベトナム政府の対応は迅速だった。3月10日から全国民に医療申告を義務化、コロナ感染者との接触の有無や健康状態を専用のアプリを通じて申告させ、感染の兆候のある対象者を国の施設に隔離する措置を実施している。

3月30日の段階で感染者数194人と感染爆発の状況には至っていないものの、7万5,000人が国の施設で隔離、3万5,000人が自宅で経過観察となっている。

こうした感染症拡大の懸念は経済活動に大きな影響を及ぼしている。NNAの記事に現れた国民活動への影響を拾ってみると、ハノイ市の全バスの運行が3月25日から停止され、27日にはコメ輸出が停止された。コメの輸出停止は、新型コロナ感染症の拡大の影響のみならず、南部メコンデルタにおける歴史的干ばつが原因と報じられている。

ベトナムの主要輸出品目となっているスマートフォンの輸出については、中国からの部品輸入の陸路輸送に障害が発生、さらにベトナムの組み立て工場において感染者が発生し操業停止が生じている。

また縫製産業については、原料となる織物の輸入が生産地である中国の感染拡大で途絶して生産に障害が発生。農業分野では、ベトナムは中国向けに農作物を輸出しているが、中国向けの輸出低迷に伴い国内農産物の価格下落が起きている。

さらに、国内総生産(GDP)に占める観光業の割合が9%と、重症急性呼吸器症候群(SARS)当時の4%より上昇しており、観光業不振のインパクトが大きくなっているとの記事もある。

こうした中で、景気の状況を示すNNA CIは1月の96.5から2月には旧正月の影響もあって106.3へと改善したが、新型コロナウイルスの世界的な拡大が本格化した3月には97.1へと大きく低下した。

景気の方向感を表すNNA DIは1~3月の平均で22.2%となった。月別に見ると1月に16.7%と低い水準になった後、2月に50%と持ち直したため、3カ月平均が20%を超える水準となっているが、3月のNNA DIは0%。全ての指標の悪化を示す値となり、ベトナム経済が悪化することを明確に示唆している。

新型コロナウイルス感染症の拡大が本格化する以前、2020年のベトナム経済は6%台の成長を遂げるとの見方が一般的だった。感染がどこまで拡大するのか、収束がいつになるのかの見通しが立たない現段階で予測を改定することは困難を伴う。

NNAの記事を見ると、第1四半期(1~3月)はマイナス1.7%とする専門家の見方を伝えるほか、通年でもドイモイ(刷新)政策を開始した1986年の2.8%という水準を下回り、過去30年間で最低となる可能性が指摘されている。

4月に入ってベトナム政府は休業補償など財政支援や緊急融資枠の設定を含む62兆ドン(約2,800億円)の支援パッケージを国会に上程した。感染拡大の阻止と同時に、経済下支えに政策の力点を置いて対応にあたっている。2020年の景気動向は、感染拡大の停止の時期と政府の経済下支え策の効果にかかっており、流動的な状況にある。

日本格付研究所 国際格付部長・チーフアナリスト 増田 篤

<ベトナム編集部の目>

2019年第4四半期(10~12月)までの好景気が、新型コロナウイルス感染症の流行で一気に反転した。20年第1四半期の国内総生産(GDP)成長率は3.8%。プラス成長は維持したものの、リーマンショック以来の減速となった。

ベトナムの感染者数は4月半ば時点で260人ほどで、治癒数も170人に達している。他国と比べると新型コロナの影響は「軽症」で済んでいると言えるが、経済への影響は他国と同様に大きい。

ベトナムでは3月半ばから順次、各地で「生活に必須ではない」サービス業の営業が一時停止。映画館やカラオケ店、マッサージ店、バーは閉店となったほか、レストランはテークアウトのみとなり、スーパーマーケットや薬局以外は営業停止。外国人の入国も段階的に制限を強めていった。4月15日までの外出制限も延長され、月内は維持される見通しとなっている。

近年、ベトナムでは内需型産業も拡大を続けており、輸出とともに経済成長の両輪となってきた。しかし、外食産業や観光はほぼストップし、アパレルや娯楽系産業も営業が難しい状況となっている。

第2四半期以降の業績についてもコロナ次第となっており、先が見えない状態となっている。また、ベトナム国内でのコロナ流行が収まったとしても、外国での流行が続けば、外国人観光客の受け入れ再開も期待できない。

ベトナム政府からは、工場や運輸の停止が求められているわけではないが、トヨタ自動車やホンダ、地場ビンファストなど自動車各社は製造・販売ともに停止しており、部品や原材料メーカーへの影響は大きい。

一方、第1四半期の統計からは、底堅さも垣間見えた。輸出は前年同期比0.5%増とプラスを維持。特に最大の輸出先である米国向けは16%増、第2位の中国向けも12%増となった。

今後、新型コロナの影響で、主力のスマートフォンやアパレル、履物、水産品の世界での需要がどの程度踏みとどまるかが、ベトナム経済の先行きを左右する。下半期に向け、発効間近とされる欧州連合(EU)との自由貿易協定(EVFTA)などを起爆剤にできるのか、ベトナム経済が正念場を迎えた。

NNAベトナム編集長 小堀栄之

<本資料について>

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