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【マレーシア】活動制限でもITなど採用活発、JAC調査[経済](2020/04/17)

人材紹介大手のJACリクルートメントがまとめた、2020年1~3月期のホワイトカラー人材紹介市場の動向に関するリポートで、マレーシアでのホワイトカラー求人数は前年同期比6%増だった。新型コロナウイルス封じ込めのために3月18日から活動制限令が実施され、採用を凍結する企業がある中、ITやシェアードサービスセンター(SSC)などは採用に積極的だった。

活動制限発令の開始から1週間が経過した3月25日時点で、同社はマレーシアで256社からホワイトカラーの求人依頼を受けた。内訳は日系が53%、多国籍・地場企業が47%。求人数は463件だった。マレーシア現地法人、JACリクルートメント・マレーシアの大西信彰社長によると、3月25日以降の約3週間で、さらに10数社から求人依頼があったという。

1~3月期の求人数は、前年同期比で多国籍企業が66%増加した一方、日系企業は19%減と採用方針に違いが出ている。前期比は39%増で、日系・多国籍企業双方とも求人が増加した。

同期に採用が活発だった職種は、ITや電子商取引(EC)、SSC、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、エンジニアリング、医療機器・医薬品、一部半導体と電気・電子(E&E)などで、職種では人事・経理系などのバックオフィス系の引き合いが強かった。

活動制限令下で選考を進めている企業は、テレビ会議システムでのオンライン面接が中心。ただ、約半数の企業からは最終面接だけでも対面で行いたいというニーズがあり、就職活動が今後全面オンライン化する可能性は低いという。

1~3月期の求人数のうち75%については、企業は継続して採用する意向を示しているが、10%の求人については、当面もしくは年内凍結となった。新規に採用しても、新型コロナウイルスの影響で入社時期が5月以降にずれ込むケースも増えている。

■求人は買い手市場に

転職希望者の動向については、コロナ禍で今の勤め先の状況が見通せないため転職したいという層と、先行き不透明なために転職を一時見合わせたいという層が二分している。

大西社長は「先行きの見通しにくい時期だからこそ、雇用条件の良さをアピールして良い人材を採用できる好機」と主張する。一方で、現在いる社員に対しては、不安の多い時期だからこそ、在宅勤務中の連帯感を強めるなどリテンション(引き留め)対策を講じる必要があると指摘した。

海外在住の外国籍人材が対象の求人や、日本やその他の外国から母国へ戻って就業を希望する求職者については、採用が内定しても渡航できないため就労開始時期が不明だったり、帰国後の隔離措置があったりすることから、活動しにくい状況が続いている。

大西社長は、今後の求人市場について、コロナの影響や景気低迷を受けてマレーシア国内の事業所を閉鎖する動きもあり、失業者が増える可能性があると指摘。一方、景気の不透明感から人員拡大を見合わせる企業も増えるとの見通しを示した。ただ、組織のコア層となる中間管理職以上の欠員募集は引き続き行われる見込みだ。

■フル操業企業は7%

JACリクルートメント・マレーシアは、求人中の企業に対して活動制限中の操業状況も調査した。

結果は、▽事業所閉鎖かつ在宅勤務(62%)▽事業所閉鎖かつ在宅勤務もなし(9%)▽フル操業中(7%)▽一部操業かつ在宅勤務(7%)――だった。

事業所閉鎖かつ在宅勤務とフル操業中を合わせた操業状況は、日系が15%、多国籍企業が28%。一方、事業所閉鎖かつ在宅勤務もない企業は、製造業を中心に日系で7%あったのに対し、多国籍企業はゼロで、対応の違いが浮き彫りになった。

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