【シンガポール】個人消費に陰り、2月の個人向け融資減少[金融](2020/04/02)
シンガポールの個人消費に陰りが見えている。シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)が発表した2020年2月の金融統計によると、個人向け融資は前年同月比1.1%減少した。中でもクレジットカードの貸出残高が約4年ぶりにマイナスに転じた。新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、個人消費が落ち込んでいるとの見方が出ている。
個人向けの銀行貸出残高は1.1%減の2,619億3,400万Sドル(約19兆6,600億円)となり、11カ月連続でマイナス成長だった。クレジットカードが2.3%減と、16年3月以降で初めてマイナスに転じた。住宅ローンは1.6%減で10カ月連続、自動車ローンは1.1%減で3カ月連続、それぞれマイナス成長だった。
OCBC銀行のエコノミスト、セリーナ・リン氏は「個人向け融資の減少は、政府による外出自粛要請などで落ち込んだ個人消費を反映している」と指摘。企業が生き残りをかけてコスト削減に取り組む中、減給や解雇を懸念し、消費者の財布のひもが固くなっているという。
一方、法人向け融資は前年同月比5.8%増の4,309億1,200万Sドルだった。特に一般商業向けが11.7%増となり、1月の9.5%増から伸びが加速。ビジネスサービス向けも12.3%増と伸び幅が大きかった。
OCBCのリン氏は、「法人向け融資の伸びは、経済が上向いているためではない。前年同月に春節(旧正月)の休暇があった反動に加え、新型コロナウイルスの影響で世界規模での資金調達が難しくなったことなどが背景にある」と分析した。