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【シンガポール】接触者の追跡アプリ始動、世界初[社会](2020/03/23)

シンガポール政府は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、感染者に接触した人を追跡するスマートフォン向けアプリ「トレーストゥギャザー」の提供を開始した。一定時間、感染者の近くにいたアプリ利用者を検出できる。同様のアプリを国家レベルで導入するのは世界初という。政府は「できるだけ多くの人にダウンロードしてほしい」と呼び掛けている。

政府が始動した接触者追跡アプリ「トレーストゥギャザー」の画面=20日、シンガポール中心部(NNA撮影)

政府が始動した接触者追跡アプリ「トレーストゥギャザー」の画面=20日、シンガポール中心部(NNA撮影)

アプリは、米グーグルの「グーグルプレイ」、アップルの「アップストア」からダウンロードできる。ダウンロードしたスマートフォン同士が近づくと、端末ごとに割り振られたIDを近距離無線通信規格「ブルートゥース」を通じて交換する。

双方の端末に、近くにいたユーザーのIDが記録されていく仕組みだ。連絡先などの個人情報は交換されない。

新型コロナウイルスに感染していることが分かった人がアプリの利用者である場合、保健省の職員が本人の同意を得た上で、アプリ上の記録を保健省のサーバーと照合。感染者の近くにいたことが記録されている端末の所有者に連絡を取り、必要な措置を講じる。

アプリを開発した政府テクノロジー局(GovTech)のジェイソン・ベイ・シニアディレクターによると、目安として30分以上、2メートル以内の近さに居た人を濃厚接触者と定義する。

シンガポール政府は新型コロナウイルスの感染封じ込めに向け、徹底した接触者の追跡と隔離を実施している。人海戦術に加え、テクノロジーを活用した接触者追跡を行いたい考えだ。

これまでの接触者追跡は、感染者の記憶に頼った方法だったが、データに基づきより正確で素早い追跡を可能にした。カフェでたまたま横に座っていた人など、直接面識がない人でも追跡できるようにした。

アプリは利用者が多いほど、より正確に接触者を追跡できる。ベイ氏は「政府が市民の個人情報を取得するためのものではない。できるだけ多くの人に登録してもらいたい」と訴えた。

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