【ミャンマー】世紀東急工業、アスファルト舗装剤の工場完成[製造](2020/03/10)
世紀東急工業がミャンマー最大都市ヤンゴン郊外のティラワ経済特区(SEZ)で建設していた、道路舗装用アスファルト乳剤の工場が7日までに完成した。6月にも本格稼働する見通し。インフラ整備が加速するミャンマーの内需に対応する。
7日に現地で行われた式典で、平喜一社長は「新工場を基軸にミャンマーのインフラ整備に関与し、日本とミャンマーの懸け橋になりたい」と語った。
ミャンマーでは経済発展に伴い、地方都市を含む全域で新たな道路や空港の建設が加速。都市間を結ぶ幹線道が次々と改良・新設されているほか、インドシナ半島を貫く国際道路「東西経済回廊」の整備も日本政府などの支援で進む。
一方、舗装工事の現場では、ドラム缶で熱した高温のアスファルトを人がすくい、まいた後に特殊車両などで押し固めるという古典的な手法が継続。そのため、道路の強度や防水性が不十分なほか、廃棄ガスによる大気汚染、工期の遅延なども課題になっている。
アスファルト乳剤は、アスファルトに界面活性剤や安定剤、水などを加えて乳化させることで、常温での取り扱いが可能となるよう加工した舗装資材。効率性や品質が大幅に改善するが、現在は大半が輸入されている。
■年間1.8万トンの生産可能
世紀東急工業は、これまでにもミャンマーで舗装事業を手掛けてきたが、アスファルト乳剤の需要拡大をにらみ、同社初の海外生産拠点を設けた。資本金1,000万米ドル(約10億5,300万円)の全額出資会社「世紀東急ミャンマー・ロード」が運営する新工場は、敷地面積が2万平方メートル。40人体制で始動し、アスファルト乳剤を最大で年1万8,000トン生産する。乳剤散布用の特殊車両も備えた。
同社によると、開発が始まったばかりのミャンマーは、道路などの舗装事業1件当たりのアスファルト乳剤需要が、日本の工場1カ所の年産量(1,000~2,000トン程度)に匹敵するほど大きい。新工場の生産規模が大きいのもそのためだ。世紀東急ミャンマー・ロードの伊藤鋭一社長は「これまでの加熱手法からの切り替えには一定の時間が必要であるものの、極めて潜在性が大きい市場」と話す。地方都市を含め国内全域へのアスファルト乳剤供給を目指している。