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【タイ】日系6割が新型肺炎で悪影響[経済](2020/02/17)

盤谷日本人商工会議所(JCC)と日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所は14日、JCC役員企業を対象に実施した「新型肺炎の影響に関する緊急アンケート」の結果を発表した。現時点での自社への影響について、「大きな(経常収支5%以上程度)のマイナスの影響がある」「多少のマイナスの影響がある」と答えた割合は全体の60%に達した。

調査は、2020年2月5~13日に、JCC理事企業47社を対象に実施し、製造業21社、非製造業19社の計40社から回答を得た。

中国湖北省武漢市を発生源とする、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)について、現時点での自社の業績への影響の見込みを尋ねた質問では、「経常収支5%以上程度の大きなマイナスの影響がある」と答えた企業数は4社(10%)。「多少のマイナスの影響がある」と答えた企業数は20社(50%)に達し、合わせて60%の企業が業績への悪影響を見込んでいることが分かった。また、「現時点では全く分からない」と答えた企業も9社(23%)となっており、対策を決めかねている状況が浮き彫りとなった。

■販売数量の減少が60%

マイナスの影響として、どのようなものが見込まれるかを尋ねた質問(複数回答可)では、「世界経済減速による販売数量の減少」と回答した企業が24社(60%)と最も多く、販売・営業面での悪影響を懸念する声が多かった。次いで、「中国からの部品、原料、中間材、製品等の調達が遅延、困難になる」が22社(55%)、「中国へ輸出する部品、原料、中間財等の数量の減少」が10社(25%)と、製造業を中心に、タイと中国の間のサプライチェーンへの影響を懸念する声が目立った。「タイへの中国人観光客減少による消費低迷」も同じく10社(25%)で、「中国市場の原則による自社の最終製品販売数量減少」が9社(23%)で続いた。

中国や第三国からの部品などの調達が遅延・困難になることを懸念していると答えた企業23社に、「もし代替の対策をとらなかった場合、在庫等を勘案した上で、自社のビジネスに影響が出る時期」を尋ねた質問では、「2020年2月」と「20年3月」がともに8社(35%)で、合わせて70%が2~3月に影響が出ると答えた。「20年4月」「20年5月」と答えた企業を合わせると、21社(91%)が5月までに部品などの調達に影響が出ると考えていることが分かった。

■中国からの調達5%も長期化すれば影響大

ジェトロが昨年11月に公表した「2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、タイに進出している日系企業の原材料・部品の中国からの調達率は5.2%。一方、タイ国内からの調達率は60.8%で調査対象19カ国・地域中3番目に高く、他国に拠点を置く日系企業に比べて、サプライチェーンへの影響は小さいと考えられている。ただし、ジェトロン・バンコク事務所の竹谷厚所長は、「タイ国内で調達している場合でも、その調達先の企業が中国から部品などを輸入している場合もある。タイと中国とのサプライチェーンは複雑に関連しており、COVID19の問題が長期化すれば、日本企業への影響は大きくなる」と話し、早期の鎮静化の必要性を強調した。

竹谷所長はまた、「今回は緊急調査ということで、調査対象を大手企業に絞ったが、影響は中小企業のほうが大きいと考えられる」と話し、COVID19による日系中小企業への影響を注視していく考えを示した。

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