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【ミャンマー】新型肺炎、観光業や製造業に幅広く打撃[経済](2020/02/18)

新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大が、観光業や資源輸出、製造業などミャンマー経済に幅広く打撃を与えるとの見方が出ている。一方で、震源地の中国から東南アジア諸国連合(ASEAN)への生産移転が進み、長期的にはミャンマーの製造業の発展につながるとの指摘もある。ミャンマー・タイムズ(電子版)が14日伝えた。

欧米系格付け会社フィッチ・グループのフィッチ・ソリューションズは2月、2019年度(19年10月~20年9月)のミャンマーの実質国内総生産(GDP)成長率予測について、6.5%から6.3%に引き下げた。18年度実績の6.8%から0.5ポイント減速することになる。フィッチは、19年にミャンマーを訪れた約200万人余りの外国人のうち、3分の1近くを占めた中国人の来訪が減るとみている。

原油や天然ガスの輸出にも影響を与える恐れがある。中国での生産活動の停滞を受けて、原油の国際価格は1月中旬以降、1バレル当たり10米ドル(約1,098円)下落した。電力・エネルギー省は年内に15海上鉱区と18陸上鉱区の採掘権を国際入札にかける予定だが、原油価格の値下がりが、エネルギー会社の投資意欲を削ぐ恐れがある。

中国との貿易は既に停滞している。商業省のキン・マウン・ルウィン次官は、「月4億米ドルに上っていた貿易額が半減する恐れがある」と指摘する。既に、中国との国境貿易の最大拠点である北東部シャン州ムセでは1月以降、検問所がほぼ閉鎖状態にあり、再開のめどが立っていない。

中国からの原材料に頼る縫製業などでは、一部の工場で生産に支障をきたしている。ミャンマー縫製業者協会(MGMA)によれば、縫製業の原材料の輸入認可申請件数は、COVID19の感染拡大後、20~30%減少した。MGMAの担当者は、「中国から原材料を輸入できないため、既に2~3社の工場が閉鎖した」と話す。

一方で、英誌「エコノミスト」の調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のニック・マッロ氏は、「新型肺炎の感染拡大は、中国から東南アジアへの製造業の生産移転を加速させる」と話す。

最大都市ヤンゴンでレースを生産するミンテック(Mingtex)・ミャンマー・インダストリアルのウィリアム・ワン氏は、「感染拡大は、ミャンマーにとっては新たな商機になり得る」と期待する。ワン氏は、小売りや製造業の間で、中国からの輸入依存を解消しようとする国際的な動きが進むとして、「ミャンマー政府は、魅力的な投資優遇策や規制緩和による事業環境の改善、頻発するストライキへの適切な対応などに取り組むべき」と促している。

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