【中国】武漢で原因不明の肺炎、発症者44人に[社会](2020/01/06)
湖北省武漢市で原因不明のウイルス性肺炎が多発している。武漢市衛生健康委員会によると、3日午前8時までに44人の症例が確認され、このうち11人が重症という。中国政府は専門チームを武漢に派遣し、感染源やウイルスの特定を続けており、インフルエンザや鳥インフルエンザ、アデノウイルスなどによる「よく見られる呼吸器疾病の可能性は排除した」という。
武漢市では12月31日までに27人の発症が確認されていた。主な症状は発熱で、一部の患者には呼吸困難の症状もあるという。発症者は市内の病院で隔離治療しており、濃厚接触者121人についても経過観察を続けている。同市によると、医療従事者を含め、人から人への感染は確認されていない。
発症者の多くは市内の海鮮市場「武漢市華南海鮮城」の経営者や利用客で、市場の付近住民も含まれているという。毎日経済新聞(電子版)によると、華南海鮮城は「華中エリア最大規模の水産市場」とされ、海鮮や牛肉・羊肉などを扱う店舗が1,000店以上出店している。市場では1日から休業措置が取られ、武漢市は「華南海鮮城の環境衛生に関する処理作業を完了し、さらなる衛生調査を進めている」と説明した。
この問題を巡り、中国本土の近隣国・地域が水際対策に力を入れている。シンガポール政府は3日、武漢から乗り入れた航空便の搭乗客に対する体温検査を実施すると発表。香港政府も4日、香港国際空港(チェクラプコク空港)と、中国本土からの高速鉄道が乗り入れる西九龍駅で旅行客の体温測定を強化している。
シンガポールの華字紙、聯合早報によると、4日までに香港で類似した症状の患者5人が見つかっているほか、シンガポールでも武漢から訪れた中国籍の女児が似た症状を発症したという。
■「SARS発生」のデマを処罰
中国のインターネット上では、2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生したとの情報が出回った。中国新聞社電によると、これを受けて武漢市公安局は「ネット上で事実ではない情報を流し、社会に好ましくない影響を与えた」として8人を処罰したことを明らかにしている。