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【インドネシア】いすゞが「トラガ」を輸出[車両](2019/12/13)

いすゞ自動車のインドネシア法人、いすゞアストラモーターインドネシア(IAMI)は12日、首都ジャカルタ近郊の西ジャワ州カラワンの工場で生産したキャブオーバー型軽量トラック「TRAGA(トラガ)」の輸出を開始した。同社がインドネシア製の完成車(CBU)を輸出するのは初めて。来年末までに6,000台の輸出を目指す。また3年以内に20カ国へ輸出を拡大していく。

フィリピンに輸出されるトラガは、エンジンがユーロ4規格に対応している=12日、西ジャワ州カラワン県(NNA撮影)

フィリピンに輸出されるトラガは、エンジンがユーロ4規格に対応している=12日、西ジャワ州カラワン県(NNA撮影)

同日フィリピンにトラガを輸出した。同国の規制に従ってエンジンが欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ4」を満たしていること(インドネシアは「ユーロ2」)や車幅の一部が現地の規制に合わせて調整されていること以外は、インドネシアと同じ仕様、基本性能だという。フィリピンが2017年にユーロ4基準を導入し、輸出用トラガの仕様をこれに合わせたことから輸出開始の運びとなった。

今後は東南アジア、中東、アフリカ、南米の市場を目指す。IAMIのエルナンド社長は「フィリピンの次は(各国の規制に合わせながら)カンボジア、ラオス、ベトナムへの出荷を検討している」と述べた。具体的な時期や台数は「まだ各方面と協議中だ」と話した。

同社長はまた、今回のトラガ輸出がKITE制度(輸出目的の輸入品に対する関税などの便宜措置)の対象になったとも明らかにした。

IAMIは、「新興国戦略モデル」としてトラガを昨年4月に発売。小型トラック「エルフ」より軽量のモデルで小回りが利き、急成長している電子商取引(EC)の配送などに適しているなど、汎用(はんよう)性が高いという。同年末までの8カ月間で販売台数は3,000台に上り、今年はインドネシア国内で6,000台の販売を目標としている。

この日開かれた輸出記念式典に出席したジョコ・ウィドド大統領は「輸出の拡大と輸入の削減は、政府が目指している政策の一つだ」と述べ、IAMIによる国産トラックの輸出を歓迎した。

「インドネシアが向こう5年で完成車の輸出ハブ国になることを目指す」と話すジョコ大統領=12日、西ジャワ州カラワン県(NNA撮影)

「インドネシアが向こう5年で完成車の輸出ハブ国になることを目指す」と話すジョコ大統領=12日、西ジャワ州カラワン県(NNA撮影)

■生産能力引き上げに

IAMIは、トラガの輸出をきっかけに生産を拡大し、カラワン工場の生産能力引き上げにつなげていきたい考えだ。IAMIの竹田啓治副社長は「カラワン工場の年産能力は最大5万2,000台だが、現在は5割の稼働にとどまっている。稼働率を上げるためには、輸出を拡大して生産台数を引き上げていく」と話した。トラガ以外にも、将来的にはエルフや中型トラック「ギガ」のCBUも輸出する考えを示した。

エルナンド社長は「輸出によって、サプライチェーンネットワーク(供給網)も拡大できる。輸出サプライヤーは119社に達した」と述べ、国内企業の成長にも貢献できると強調した。

現地調達率の向上について、竹田副社長は「ボディーやシャシーなどの素材、トランスミッションやギアなど新規投資が必要になるような部品については依然として輸入に頼る必要がある。現地調達率を引き続き高める努力をしていきたい」と述べた。トラガの現地調達率は53.5%で、IAMIの他車種に比べて「比較的高い割合」(IAMIの担当者)だという。

■平均シェア25%目標

今年の販売について、竹田副社長は「昨年が想像以上に良かったので、その反動がきた。上半期は大統領選挙、下半期も米中貿易摩擦の波及を懸念した企業の買い控えが影響して、総じて厳しい状況だった」と話す。来年の見通しについても「資源価格がまだ低いことから、販売台数は今年から微増にとどまると厳しめに見ている」と予測した。

エルナンド社長は「10月までの商用車市場シェアは16.9%で、年末までに17.5%を達成できるだろう。来年はシェア25%を目指していく」と述べた。

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