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【マレーシア】ユーグレナ、ミドリムシ題材の体験学習開催[食品](2019/12/02)

バイオスタートアップのユーグレナ(東京都港区)は、11月29日~12月1日にマレーシア工科大学(UTM)傘下のマレーシア日本国際工科院(MJIIT)で現地の子どもに生物への関心を高めてもらおうと体験イベントを開いた。東京大学発のベンチャーとして2005年に設立されたユーグレナは、主に藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)を活用し、食品やバイオ燃料などの研究や商品化を手掛けている。今年1月にMJIITが開設したバイオ技術の研究施設内に拠点を構え、産学連携でバイオビジネス分野の研究者育成に取り組んでいる。

ミドリムシの研究でサンプル(水)を収集する参加者とユーグリナの鈴木氏(左から1人目)=11月30日、クアラルンプール(リバネス・マレーシア提供)

ミドリムシの研究でサンプル(水)を収集する参加者とユーグリナの鈴木氏(左から1人目)=11月30日、クアラルンプール(リバネス・マレーシア提供)

イベントは、ユーグレナとMJIIT、科学技術分野で人材育成や研究に関する企画・コンサルティング業務を手掛けるリバネス(Leave a Nest、東京新宿区)が共催。MJIITとリバネスが今年1月に開設したバイオ技術のインキュベーション(ふ化)施設「ネスト―バイオ・ベンチャーラボ」を会場に、3日間にわたって地元の子どもら10人が参加した。

イベント最終日の1日は、クアラルンプール周辺の河川や湖で事前に採取した20種類のサンプル(水)を顕微鏡で確認し、ミドリムシの有無を調べる授業が行われた。リバネス傘下、リバネス・シンガポールの徳江紀穂子マネジングディレクターはNNAに対し、「マレーシア人の親は教育熱心だが、東南アジアの他国と比べて、試験に直結した学習にとどまらず、子どもの学問に関する興味や関心を伸ばそうとする考えが強い」と話す。今回のような、子どもが見て、触れて、考える体験型イベントを中期的に継続して開催していく方針だ。

■健康食品でハラル認証取得済み

ユーグレナは、MJIIT化学プロセス工学科の原啓文准教授(工学博士)との共同研究を目的に、ラボ開設に合わせて拠点を置いた。8月にユーグレナで研究開発部門の代表を務める、鈴木健吾・執行役員(農学、医学博士)がMJIITの客員教授に就任し、本格稼働した。

鈴木氏はNNAに対し、「マレーシアは生物資源が多様な上、冬がなくコメの二期作が可能という気候条件のため、日本と比べてより生産効率が高い研究ができる」と話す。月1回のペースでラボを訪れ、MJIITの学生や研究者らと微生物の解析や培養に力を入れる。また、微生物研究に有利な熱帯気候だけでなく、同社製品の売り込み先としてもマレーシアを重視している。

ユーグレナは、ミドリムシの高い栄養素や消化しやすい細胞構造、免疫機能の調整効果を生かして商品化した健康食品をマレーシアに投入していく計画。鈴木氏は「中国とシンガポールでミドリムシの関連商品を販売しており、マレーシアでもマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)からハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証を取得した」と明らかにした。

鈴木氏は「商品は科学データに基づいて開発されたもので、糖尿病などの予防医学や医療の観点で世界に貢献していくことが最大の目的だ」と説明。ネスト―バイオ・ベンチャーラボでの主に原准教授との共同研究を通じて、「日常的に摂取しやすい価格帯に設定することが課題」(鈴木氏)という。ラボでの研究期間は19~23年の4年間の予定となる。

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