【台湾】行政院、南科拡張と橋頭園区開発の加速指示[経済](2019/10/29)
台湾行政院(内閣)の陳其邁副院長(副首相)はこのほど、南部科学工業園区(南科)の拡張と高雄市の新たな産業団地「橋頭科学園区」の開発を加速する方針を示した。長引く米中貿易摩擦を受け、世界でサプライチェーンや投資計画を見直す動きが進む中、産業用地を拡大することで内外企業の投資を取り込みたい考え。このうち橋頭科学園区への企業の入居は、従来の計画から4年半早い2021年末の開始を目指す。28日付工商時報などが伝えた。
科技部(科学技術省)は従来、橋頭科学園区への入居を26年6月からとしていたが、陳副院長はこれを「遅すぎる」と指摘。大幅な前倒しを指示した。
陳副院長によると、南科では今後さらに180万平方メートルの用地が必要になる見通しで、2週間以内に現時点で候補となっている用地2カ所について関係者と話し合いを行う。
科技部によると、南科では現在、ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が5ナノメートルと3ナノの製造プロセスに対応した生産ラインを設ける計画が進んでいる。南科の拡張と橋頭科学園区の設置が完了すれば、ハイテク大手やその周辺産業のサプライチェーンによる投資拡大が見込め、南部エリア全体の年産額は1兆台湾元(約3兆5,500億円)に上る見通し。
陳副院長は「用地の確保は向こう3年の緊急の課題。用地の準備が間に合わなければ、台湾は産業競争の大きな優位性を失うことになる」と強調した。
■橋頭園区の都市計画変更
内政部(内政省)都市計画審議委員会はきょう29日、橋頭科学園区の都市計画の変更について審議し、承認する見通し。計画変更後の同園区の総面積は360万平方メートルで、このうち産業専用エリアは186万平方メートル。開発コストは350億元で、今後段階的に土地の収用を進める。