【韓国】「神学論争」が勃発、8Kテレビの定義巡り[電機](2019/10/25)
画面の解像度が4Kテレビの約4倍という8Kテレビの定義を巡り、サムスン電子とLG電子の対立が深まっている。口火を切ったのはLG電子で、サムスン電子の8Kテレビを「ニセ8K」と一刀両断。業を煮やしたサムスン電子もこのほど、韓国公正取引委員会に同社の行為を「営業妨害」だと訴えた。両社の対立は収束する気配がなく、8Kテレビを巡る主張の違いは「神学論争」の様相を呈し始めている。
LG電子は、サムスン電子の8Kテレビについて「画素数は基準を満たしているものの、画質は国際ディスプレー計測委員会(ICDM)が定めた基準以下で、自社の4K有機ELテレビにも及ばない」と主張する。
LG電子はさらに、サムスン電子の「QLED」という商標にもかみついた。先月17日にソウル市内で開催した記者会見では、サムスン電子のQLEDテレビを分解した上で、「自発光パネルを使った有機ELテレビではなく、液晶テレビに量子ドット(QD)シートを追加しただけの『QLCD』だ」と指摘した。
サムスン電子は即座に、「8Kの画質は明るさ、色の量、画像処理技術、光学・システム技術を総合的に判断しなければならない」と反論。LG電子の記者会見直後に記者を集め、QLEDテレビでは8Kで再生された映像が、LG電子製品では再生できない点を突き、主張の正当性を示した。
NNAの取材に答えた韓国エレクトロニクス業界のある関係者は、サムスン電子とLG電子の争いを「『ベータ対VHS』のビデオ戦争」に例える。「8Kテレビの定義を巡る神学論争に終止符を打つのは消費者」という意味だ。ビデオ戦争は、画質や性能はソニーのベータ方式が上だといわれたが、松下電器産業(現パナソニック)と日本ビクター(現JVCケンウッド)のVHS陣営に軍配が上がった。ベータは配送を待たなければならなかったが、VHSは消費者が持ち帰れる大きさであったことが勝敗を分けたと言われる。
来年はLG電子が8K市場に本格参入する見通し。消費者の動向が注目される。