【ミャンマー】ラカインのネット遮断101日に、国連が抗議[政治](2019/10/01)
ミャンマー西部ラカイン州の紛争地域で、同国政府の命令によりインターネット接続が遮断されてから、9月30日で101日目となった。国連のミャンマー事務所は同日、ミャンマー政府に対して同地域でのネット遮断を即刻解除するよう求める声明を発表した。
国連は「インターネットはミャンマーでの国連による人道活動や開発活動にとって不可欠であり、ネット遮断により活動だけでなく現地職員や住民らとの連絡にも甚大な支障が出ている」と指摘した。また「ネットが遮断されている地域で暮らしている人々は、紛争により既に大きな痛手を受けている。人道支援が届かないことで彼らの困難が倍増している」と強調した。
さらに「ネット遮断は、ミャンマー政府が署名している国連開発計画(UNDP)の持続可能な開発計画目標(SDGs)の理念である『誰一人取り残さない』に反するものであり、食料や教育、医療、情報を入手・利用できるという基本的な権利を侵害する恐れがある」と非難。ミャンマー政府に対して、ネット遮断を即刻解除し、国際人道法で定められている義務に基づき、人権擁護団体による支援を促進するよう求めた。
複数の市民団体も政府を批判する声明を発表。表現の自由を追求する「フリー・エクスプレッション・ミャンマー」(FEM)は「ネット遮断は、ミャンマーの民主化を大きく揺るがせるものだ」と批判した。
同国では、ラカイン州でのネット遮断に反対し、多くの企業や団体、個人が抗議運動を展開している。FEMのほか、ミャンマー企業の社会的責任(CSR)促進を目指す団体「責任ある事業のためのミャンマー・センター(MCRB)」、最大都市ヤンゴンにある非営利の起業家支援ラボ「ファンディヤル」などが主導する「#StopInternetShutdownMM」の参加者は、9月30日に携帯電話やインターネットを使用しないことで、ネットが遮断された状況で生活している人々との連帯を表明する方針を示していた。
ミャンマー政府は6月21日、通信会社に命じてラカイン州の8郡区と北西部チン州の1郡区でインターネット接続を遮断した。8月末にラカイン州のマウンドー、ブティダウン、ラテダウン、ミェボンの4郡区とチン州パレワ郡区の計5郡区でのネット遮断を解除したが、ラカイン州のポンナギュン、チャウクトー、ミャウー、ミンビャの4郡区では現在も遮断状態が続いており、政府は解除する意向を示していない。