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【台湾】スモール・プラネット、台北に期間限定店[商業](2019/08/05)

キャラクターグッズの企画・製造・販売を手掛けるスモール・プラネット(東京都八王子市)は3日、台湾の合弁会社を通して日本の人気アニメ・漫画「クレヨンしんちゃん」の期間限定店(ポップアップストア)の1号店を台北市に出店した。今後は電子商取引(EC)への販路拡大や常設店の設置などを見据えており、合弁会社の売上高は来年に3億円、将来的には15億円に達するとみている。

信義区の複合商業施設「誠品(エリート)」信義旗艦店の1階に18日まで出店する。店舗面積は約8.4坪で、商品数は最小管理単位(SKU)ベースで450点。定番の靴下やTシャツ、ぬいぐるみのほか、キャラクターの焼き印を入れたパイナップルケーキもそろえた。初日は来客数が想定を上回る盛況ぶりを見せたという。

スモール・プラネットと台湾で日本企業との連携事業を手掛ける仁美国際(SGM)が7月に合弁で設立した小星屋国際(スモール・プラネット台湾)が運営する。資本金は300万台湾元(約1,000万円)で、出資比率はスモール・プラネットが80%、仁美国際が20%。

■旬のポップアップを台湾でも

スモール・プラネットの吉野廣樹社長は、台湾出店までの経緯について「インバウンド客の人気を受けて海外で出すことを考えた際に、親日的な台湾で始めるのがいいと思った」と説明した。台湾市場については、「日本よりキャラクターグッズの店舗数が少なく、あっても商品数や種類が少ない」と指摘。豊富な商品ラインアップが台湾市場の深耕を図る上で武器になるという。

吉野社長によると、スモール・プラネット台湾が他の業者を介さず、期間限定店を直接運営することで、商品別の売れ行き状況を正確に把握でき、余剰生産を回避するなど効率的な運営ができることも強み。削減したコストはアニメ作品とタイアップした広告活動などに充て、一層の来客数の増加を図る。

吉野社長は「ライセンス費用は売上高の6~9%で決して少額ではないが、これらの強みを生かすことで十分黒字が見込める」と意気込んだ。

今後は台湾域内で、期間限定店を中心にその他のキャラクター店舗の出店を検討。将来的には常設店の開店も視野に入れる。同時に、電子商取引(EC)サイトの構築も進める。

SGMの浜島貴仁董事長は、「例えば台湾域内の複数の場所に期間限定店を出店し、その中で異なるキャラクターの商品を順次回していくなどのやり方も想定している」と述べた。

吉野社長は「消費者が飽きる前に回していく、というのが最近のトレンドと感じている。限定品や粗品を活用してコアな客層を取り込むことも必要」との見方を示した。

■他国・地域への進出も視野に

今回の台湾進出には、他のアジア地域に進出する際の試金石という意義もある。

吉野社長は、「台湾の消費者は海外の流行に敏感なほか、海外製品の受容度も高く、台湾事業の成果は今後、他の国・地域に進出する上で、大きな参考になる」とコメント。他国・地域への進出を見据える上で、SGMが日本企業の海外進出に豊富な実績を持つことが提携につながった最大の理由だと説明した。

■物産の売り込みにも

日本の期間限定店では、菓子など食品の人気も高い。SGMの浜島董事長は、「キャラクターと日本や台湾の物産を組み合わせて発信することで、キャラクターを通した文化・物産の交流促進も進めたい」と述べた。スモール・プラネット台湾開店準備室の田畑勝氏も「ライセンサーの承諾がもらえれば、さまざまな組み合わせが可能になる」と期待感を示した。

■インバウンド需要が増加

スモール・プラネットが日本で持つキャラクターのライセンス契約は「ディズニー」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」など約100種類。常備商品はSKUベースで約7,000点で、小売店などへの卸のほか、約60の直営店舗や期間限定店で自社販売している。

期間限定店は毎月10~15店を出店。中でも「クレヨンしんちゃん」の期間限定店は、東京店が今年で3年目を迎える。東京、大阪の店舗では売上高の4割がインバウンド客によるものという。

スモール・プラネットの吉野廣樹社長とSGMの浜島貴仁董事長=4日、台北(NNA撮影)

スモール・プラネットの吉野廣樹社長とSGMの浜島貴仁董事長=4日、台北(NNA撮影)

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