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【シンガポール】貨幣処理機グローリー、地場企業に出資[金融](2019/07/22)

貨幣処理機大手グローリー(兵庫県姫路市)は19日、小売店のレジなどを現金自動預払機(ATM)代わりにして預金を引き出すキャッシュアウトサービスを開発・提供するシンガポールのソーキャッシュ(soCash)の株式を取得したと発表した。キャッシュアウトの事業ノウハウを吸収するのが狙い。出資額や出資比率は明らかにしていない。

ソーキャッシュは、消費者が銀行に行かなくても現金を入手できるキャッシュアウトサービスを提供している。小売店が売上金の一部を出金することで売上金の回収頻度が減少し、回収にかかるコストを減らせるというメリットもある。

地場DBS銀行、DBS系列のPOSB銀行、英系スタンダード・チャータード銀行、中国工商銀行(ICBC)と提携。口座を持つ顧客は、シンガポールの1,300店以上の小売店で現金を出金できる。利用者は専用アプリで引き出したい金額を入力し、店舗を選択。小売店のレジでQRコードを提示すると、現金を受け取ることができる。

グローリーの広報担当者はNNAに対し、「国内外でキャッシュアウトサービス会社に出資するのは今回が初めて。soCashが持つノウハウを活用し、他国でも通用するかどうかなど探っていきたい」と話した。将来的には、soCashのキャッシュアウトサービス向けにグローリー製レジを提供することなども視野に入れる。

グローリーは、金融店舗のカウンターや小売店のレジなどで現金を数える作業を効率化できる硬貨・紙幣処理機を提供。世界的にキャッシュレス決済への移行が進む中、金融、小売りなど業界の垣根を超えて社会全体で現金の流れを効率化し、現金のハンドリングコストの圧縮を目指している。ハンドリングコストは現金流通に伴って発生する集金、輸送、口座入金といった費用。

昨年発表した「長期ビジョン2028」では新たな事業領域として「通貨流通の新たな管理スキームの構築」を掲げ、関連する事業モデルへの投資を進めている。同スキームは、通貨の流通状況を追跡したり通貨のライフサイクルを管理したりする仕組みを指す。soCashへの出資を通じて、こうした事業領域の成長を促進したい考えだ。

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