【インドネシア】選挙結果の抗議デモが一部暴徒化、6人死亡[社会](2019/05/23)
インドネシアの中央選挙管理委員会(KPU)が大統領選の結果を発表した21日以降、敗れたグリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首の支持者らが首都ジャカルタ各地で抗議デモを行った。一部の参加者が暴徒化し、警察が約70人を逮捕した。地元メディアによると、22日までに少なくとも6人が死亡、重軽傷を負った200人以上が病院に搬送された。
タムリン通りの総選挙監視委員会(Bawaslu)本部前では21日午前10時ごろから支持者らが集まり始め、選挙に不正があったと主張した。警察が夜に一度解散させたものの、深夜に再度集結した。このほか中央ジャカルタ・タナアバン地区や警察機動隊の宿舎がある西ジャカルタ・スリピ地区など各地で抗議デモが行われた。警備隊への投石や機動隊車両への放火にエスカレートした場所もあった。
ジャカルタ特別州のアニス知事は「22日午前9時までに死者6人、200人以上のけが人がいると報告を受けている」と説明した。大使館によると、午後6時現在、日本人の負傷者は報告されていない。
■周辺の商業施設は休業
22日は、デモ周辺の商業施設の多くが一時休業を余儀なくされ、公共交通にも影響がでた。Bawasluの南方に位置する商業施設「プラザ・インドネシア」や「グランド・インドネシア」では高級ブティックなどのテナントが終日臨時休業としたほか、午後には商業施設全体が閉鎖された。ジャカルタ日本人学校(JJS)は22日に続き23日も臨時休校の措置を取った。
大量高速交通システム(MRT)は、午後1時半に北端のブンダラン・ホテルインドネシア(HI)駅を、午後7時にドゥクアタス駅をそれぞれ閉鎖した。公共バス「トランスジャカルタ」はタムリン通りやタナアバン地区などを通る複数路線の運転を見合わせた。国鉄はタナアバン駅やパルメラ駅などを閉鎖した。
暴動をあおる偽情報の拡散を抑えるため、政府は「フェイスブック」や「インスタグラム」「ワッツアップ」などソーシャルメディアやメッセージアプリ配信サービスの利用を一部凍結した。ルディアンタラ通信・情報相は会見で「画像や動画は心理的な影響を与えやすいため一時的に利用を停止した」と述べた。