【フィリピン】中銀「物価が安定化」、エルニーニョが懸念[経済](2019/04/29)
フィリピン中央銀行は26日、2019年第1四半期(1~3月)版のインフレ報告書を発表し、今年は消費者物価指数(CPI)が安定的に推移するとの見通しを示した。昨年末からインフレ率が鈍化基調となり、1~3月は4四半期ぶりに政府目標である前年比2~4%に収まった。ただ、エルニーニョ現象が長期化して農業生産などに打撃を与える恐れもあり、来月の金融委員会の政策決定会合の判断材料として注視している。
1~3月のCPI上昇率は平均で前年同期比3.8%となり、昨年10~12月から2.1ポイント低下した。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は1.0ポイント低下の3.9%となった。
報告書によると、民間銀行26行のインフレ率の予測値は、今年が平均3.3%。20~21年はそれぞれ3.4%となった。
金融委員会に政策を提言する諮問委員会のフランシスコ・ダキラ委員は「物価の上振れ要因と下振れ要因はバランスがとれている状態で、1~3月のデータを見ると現行の金融政策を維持することが適切だ」との見方を示した。
中銀はこれまで想定していなかった要因として、「短期で収束するとみていたエルニーニョ現象が、50%の確率で今年下半期まで続く恐れがある」ことを挙げた。一方、原油価格については、今年は1バレル=65米ドル(約7,300円)を想定しており、仮に同80米ドルまで上昇しても、政府のインフレ率目標を達成できるとの考えを示した。
次回の金融委員会の政策決定会合は5月9日を予定。政策金利は、過去3会合連続で据え置かれている。