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【香港】19年の香港経済成長2%台に、識者に聞く[経済](2019/02/28)

香港の識者の間では、香港の2019年の経済成長率が前年比で2%台にとどまるとの見方が広がっている。英系金融大手HSBCグループの恒生銀行(ハンセン銀行)の薛俊昇(トーマス・シット)首席エコノミストはNNAに対し、香港経済の19年の成長率が2.7%になるとの予測を明らかにした。米中貿易摩擦や世界経済の成長鈍化、金融市場の変動に伴う市民の消費意欲の低下、企業マインドの悪化などを悪材料に挙げた。

今年の主要経済指標の予測値は、小売売上高を4%増、輸出を4.5%増、消費者物価指数(CPI)を2%の上昇にそれぞれ設定した。

香港と中国本土を結ぶ高速鉄道「広深港高鉄」香港区間と海上橋「港珠澳大橋」の開通に伴い、香港を訪れる本土からの旅行者数は伸びるが、「旅行者の1人当たり消費額を押し上げる効果は薄い」との見方だ。その他海外から香港を訪れる旅行者の動向にも不透明感があると指摘した。

みずほ銀行香港資金部アジアFXストラテジストの張建泰(ケン・チョン)氏は、香港の今年上半期(1~6月)の経済成長率を前年同期比2.2%、下半期(7~12月)を2.7%とそれぞれ予測した。

張氏によると、輸出とサービス貿易は米中貿易摩擦と世界経済の成長鈍化が悪材料となるほか、小売りでは、人民元安と香港の住宅安・株安がそれぞれ進めば、本土客と香港市民の消費意欲に響く恐れがある。高速鉄道と海上橋の開通により、交通の利便性が向上することで宿泊客が減ることから、消費の押し上げ効果は限定的とみられる。

今年第1四半期(1~3月)の成長率はより鈍化する見通し。中でも米中貿易摩擦が投資や輸出に影響するという。

27日に発表された香港政府の新年度(2019/20年度=19年4月~20年3月)予算案にも触れ、「19年の経済成長を支援する政策、措置は多くない」と分析した。

ただ、本土の減税策によって本土経済が上向けば香港経済を押し上げると指摘。3月開かれる「両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」で減税策を打ち出すかどうかが焦点になると説明した。

■中国政策に期待感

香港バプティスト大学財務・政策決定学科の麦萃才(ビリー・マック)准教授によると、今年の香港経済は2.5~3%成長となる見通し。香港にとって重要な貿易相手先の米中の経済状況が香港経済を左右するほか、米国が利上げをすれば香港資産市場の下押し圧力が高まるとみられる。

一方、香港はこれまでに輸出先の分散を進めており、米中貿易摩擦が香港メーカーに大きな打撃を与えることはないと予想される。香港は全人口の平均年齢が40歳を超えており、小売市場は比較的成熟している。今後インフレや失業率の上昇が強まらない限り、小売市場にマイナスのインパクトを与えることはない。香港を訪れる旅行者が年間6,000万人規模であることも小売市場を支える要因の一つとした。

中国の習近平政権が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」と、広東省、香港、マカオの経済協力を強化する構想「粤港澳大湾区」も香港にとっては市場開拓などの面でプラスになると指摘した。

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