【フィリピン】金融包摂に尽力、中銀総裁が死去[金融](2019/02/26)

フィリピン中央銀行のネストール・エスペニリヤ総裁が23日、がんのため60歳で死去した。2017年7月の就任以降、金融政策を国際標準に合わせるための機構改革や、小口決済のデジタル化を陣頭指揮したが、闘病生活でたびたび業務の中断を余儀なくされた。総裁就任期間は、歴代総裁で最も短い1年8カ月弱だった。新総裁の任命まで、マリア・アマドル副総裁が総裁代行を務める。

エスペニリヤ氏はテタンコ前総裁に代わり、17年7月3日に就任。任期は6年だったが、同年11月末に舌がんが見つかり、18年2月に手術と治療を行ったことを公表。「術後の経過は良好」とされていたが、同年9~10月に5週間、11月に2週間の治療休暇を取り、今年に入ってからは当初予定していた1月21日までの休暇を無期限で延長していた。中銀によると、エスペニリヤ氏は23日、家族に見守られる中で息を引き取った。

同氏は1958年生まれ。国立フィリピン大学(UP)で経営学修士(MBA)を取得し、1981年に債務分析の専門家として中銀に入行した。キャリアの多くを金融機関の監督や調査部門で過ごし、アロヨ政権下の2005年に副総裁(同部門責任者)に就任した。総裁就任以降は、貧困や社会的な地位の低さから銀行などに口座を持てない住民などにも金融サービスの恩恵を広げる「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」を広げる必要性を強調。デジタル技術を使った新しい金融サービスの普及に尽力した。

昨年には、顕在化したインフレを抑制するため、5月から5回連続で実施された利上げを総裁として指揮。その効果で昨年末以降はインフレ懸念は緩み始め、金融市場から高い評価を受けた。日本に留学して政策研究大学院大学(東京都港区)で政策科学の修士課程を履修した経歴を持つ。

エスペニリヤ氏の死去に対し、政府や金融界から多くの弔意が寄せられた。

地元各紙によると、フィリピン銀行家協会(BAP)は「銀行業界を巻き込み、現場の声に耳を傾けながら中銀改革を進めた行動力に感謝の意を捧げたい」とコメント。複数のフィンテック(ITを活用した金融サービス)企業が加盟するフィンテック・アライアンス・フィリピンのリト・ビラヌエバ議長は、「あらゆる規制や政策を動員して『金融包摂』を進めようと改革を進めた偉大なリーダーだった」と功績をたたえた。

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