【香港】石垣市が食材提案、中華シェフがアレンジ[食品](2019/02/22)
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沖縄県石垣市は20日、中華料理のシェフを対象とした食材提案を香港で行った。香港中華シェフ協会の会長で、香港島・湾仔にある六国酒店の中華レストラン「粤軒」の総料理長を務める馬栄徳(ウィリアム・マー)氏が、石垣市の食材を使って調理し、香港の有名ホテルのシェフらが試食した。石垣市が生鮮食材を海外でPRするのは初めて。日本の中でもアジアに近い地の利を生かして新鮮さをPRした。
新石垣空港は約2年前、直接航空貨物の輸出入ができるようになる「税関空港」に指定された。石垣市商工振興課の平良守弘課長は「香港から2時間という近い場所であることが(市の)生鮮食材を運ぶ際の強みになる」と説明。貨物の輸送体制を充実させつつ、地域経済の活性化も視野に販路の拡大を進める方針を示した。新石垣空港に就航する香港と台湾向けにはこれまで菓子や黒糖、泡盛などの加工品が輸出されている。
会場にはロイヤルプラザホテルや香港カントリークラブ、香港ジョッキークラブなどのシェフや、飲食店経営者らが試食に集まった。使われた食材は、高級魚のスジアラやクルマエビ、ソデイカ、夜光貝、海ぶどうなど。このうち、クルマエビは刺身やフライに、石垣市で種苗養殖されているスジアラは1匹丸ごと使い、大皿で提供された。スジアラは皮が赤いことから中華圏で祝い事の宴席料理としての提供が期待される。香港ではインドネシアや中国本土などからスジアラが輸入されているという。
調理した馬シェフは「食材の本来の味や食感を味わうことを意識した」と説明。スープの「酸辣湯」では、「(中華食材の)髪菜よりもなめらかな舌触りのモズクを使うことで食感を統一し、料理をさらに昇華させた」(馬シェフ)。ソデイカは調味料をふんだんに使って、食感を楽しめる一品に仕上げた。
馬シェフは、クルマエビの鮮度や品質に関心を示し、今後使ってみたいと語った。ただ、香港では安くてもその品質に劣らない商品を簡単に入手できるとして、コスト面での課題を挙げた。
点心専門店「添好運」の創業者兼総料理長の麦桂培氏は、特にクルマエビとソデイカが印象に残ったと述べた。店舗では点心以外に広東料理も取り入れているため、「ぜひ使ってみたい」と意欲を示したが、一方で庶民的な料理を扱うため、コストを慎重に考える必要があると指摘した。麦氏は普段、シンガポールやベトナムなど訪れ、食材を探しているという。