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【香港】オープンAPI、各社が商機模索[金融](2019/02/12)

香港金融管理局(HKMA)が推進を掲げる銀行のAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)開放が先月から始まり、インターネットサービス業者が商機を見出している。銀行の情報システムにアクセスすることで、将来的には自社サイト上での決済や、銀行の商品やサービスへの申し込みを可能にするワンストップサービスを取り入れる構想を練っている。信報などが伝えた。

香港の飲食店口コミサイト「オープンライス(開飯喇!)」と、銀行商品の比較サイト「マネーハロー」は早い段階で、香港・マカオの現金自動預払機(ATM)ネットワークの銀聯通宝(銀通=JETCO)と提携。JETCOが運用を始めたオープンAPIのプラットフォーム「JETCO APIX」にアクセスするための準備を着々と進めている段階だ。

オープンライスの邱桂雄・最高経営責任者(CEO)は、「顧客が銀行の決済システムを使って自社のクーポン券を購入できるようにしたり、さらには自社サイトから銀行の決済システムに直接アクセスできるようにしたりする仕組みを研究している」と表明。API開放のスキームが、財務取引の各業務を対象とする最終の第4段階に至れば、飲食店への技術サポートを通じて、店検索、予約、決済を一元的に提供することも可能になると期待を示した。

マネーハローの劉雪鈴・市場運営総監は、「現時点で提供しているクレジットカード、個人向け貸出、住宅ローン、各種銀行口座の比較サービスに加え、今後は範囲を、電子マネーや証券口座、資産運用商品まで拡大できるようになる。現在は各銀行のサイトで行っている申請手続きも、将来的には自社のサイト上で直接行えるようになる」と説明。一方で、「中立性を保つため、銀行から手数料を徴収することは一切ない」と強調した。

ただ、銀行のAPI開放は個人情報に関わってくるだけに、銀行、ネットサービス業者ともにサービス開始に向けて慎重な側面もある。

中国の大手国有商業銀行である中国銀行系の中銀香港とオープンライスはともに、「提携先は必ずしも多い方がよいというわけではない」というスタンスだ。中銀香港は、衣食住の各業種で1~2社程度の第三者サービス業者と提携する意向を表明。オープンライスは、自社のデータ管理のキャパシティーを踏まえ、提携行を中堅銀行に絞る戦略を明らかにした。

■10年のトレンドに

HKMAの李達志(ハワード・リー)副総裁は、「オープンAPIは金融業の発展に向けた今後10年の大きなトレンドになるとみている。銀行側も現在、積極的に対応している」と述べた。銀行のAPI開放の第2段階となる商品への申請は10月にも実現するとの見方を示した。

現在までに銀行21行がオープンAPIプラットフォームの運用を開始しており、第三者サービスプロバイダーによる情報取得の登記は160件に上る。

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