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【香港】粤港澳大湾区、35年に全体完成へ=広東省[経済](2019/01/30)

広東省発展改革委員会は29日、広東省、香港、マカオの経済協力を強化する構想「粤港澳大湾区」について、「2035年に世界一流のベイエリアとして全体完成させる」との構想を示した。広東省は近く、大湾区計画の綱要に関する実施意見と3年行動計画を発表する見通しだ。

29日付香港経済日報などが伝えた。同省第13期人民代表大会(省議会に相当)第2回会議で明らかにした。省発展改革委員会の葛長偉主任によると、大湾区建設は3段階に分け、20年までに基礎を固め、22年までに3地域(広東・香港・マカオ)のルール(規則)を結合し、35年までに世界一流のベイエリアとして全体完成する方針。

実施意見と3年行動計画は国が定める大湾区計画の綱要に対応し、広東省が向こう一定期間、国の計画をいかに落とし込むかを盛り込む内容となる。

葛主任は広東省が大湾区を建設する上で、◇国の綱要を基礎とした関連計画の制定◇3地域のルール結合◇3地域による国際イノベーションセンターの建設◇交通インフラの建設加速◇香港・マカオを中心とする青年の訴えに対する積極的な対応◇3地域共同による「一帯一路」(中国の習近平政権が掲げる現代版シルクロード経済圏構想)支援プラットフォームの構築――の6分野を推進していく考えを示した。

中でも「3地域のルール結合」を最重要視した。関連計画の制定では、国際イノベーションセンターの建設案や地域間インフラの計画、環境保護関連の計画などを例に挙げた。

■共同実験室を創設へ

広東省の馬興瑞省長は28日、省第13期人民代表大会第2回会議の政府活動報告(施政方針演説に相当)で、大湾区の建設を今年の最重要任務に掲げた。1億人民元(約16億2,000万円)を拠出して、3地域の共同実験室やイノベーションのプラットフォームを建設することも明言した。

大湾区の建設に向けては、国際イノベーションセンターの建設を第一に据え、今年から21年まで同センターの建設を推進する方針。共同実験室では先進技術や産業の鍵となる技術の研究開発を進める。省内の実験室や設備、科学データなどを香港・マカオにも開放し、産学連携を強化する。大湾区内での科学技術分野を対象にした助成金制度も導入する。

地域間の連携をハード、ソフト両面で進める。香港―中国本土を結ぶ高速鉄道「広深港高鉄」と海上橋「港珠澳大橋」の運営・管理システムの改善や、3地域間の検問所新設、検問所で出入境手続きを1カ所で行う「一地両検」と、共同検査による通関の簡素化の導入をそれぞれ行う方針だ。

ソフト面では、広東省が香港・マカオの法律サービスや金融、医療、建設といった分野のルールを結び付け、市場の一体化を向上させる。粤港澳大湾区をカバーする商業銀行(粤港澳大湾区国際商業銀行)の設立が計画されていることについては、現在立ち上げの段階にあることを明らかにした。大湾区内のインフラ建設やイノベーションなどの分野で金融支援を図る。

会議では、科学技術分野の人材育成に向けて、3地域の政府が深セン河套区に理系大学「湾区科技大学」の創設を検討していることも示された。

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