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【香港】酒類見本市が開幕、日本勢も専用ブース[食品](2018/11/09)

酒類の国際見本市「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア2018」が8日、香港湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開幕し、日本貿易振興機構(ジェトロ)が「ジャパンパビリオン」を設置した。日本産酒類の市場拡大を狙い、27社・団体が出品。会期中は日本酒やウイスキー、焼酎、梅酒などの最新トレンドや飲み方を紹介するセミナーも開催する予定だ。

ジャパンパビリオンのオープニングセレモニーで乾杯する(左から)松田邦紀総領事(大使)、ジェトロ香港事務所の伊藤亮一所長、香港貿易発展局の方舜文総裁=8日、HKCEC(NNA撮影)

ジャパンパビリオンのオープニングセレモニーで乾杯する(左から)松田邦紀総領事(大使)、ジェトロ香港事務所の伊藤亮一所長、香港貿易発展局の方舜文総裁=8日、HKCEC(NNA撮影)

ジャパンパビリオンは7年連続の開設。今年の出展企業数は前年から5社増え、初出展は14社・団体に上った。ジェトロ香港事務所の伊藤亮一所長は、「舌の肥えた香港の消費者に新しい商品を届けることができる。まだ知られていない商品を探す機会としてほしい」とアピールした。一方、出展者には、来場者に対して商品自体の紹介にとどまらず、飲み方やペアリングの提案など付加価値を付けてPRするよう促した。

この見本市に初出展した篠崎(福岡県朝倉市)は、麦焼酎を使用したリキュール「朝倉」を出品した。日本産ウイスキーの人気が世界で広まる中、同じように琥珀(こはく)色をした同商品には多くのバイヤーが引き寄せられた。

同社によると、麦焼酎は吸光度(色味)の制限からろ過をする必要があり、その際に味や香りも落ちてしまう。朝倉は、「焼酎」というカテゴリーではなく、制限のない「リキュール」という形で、過度なろ過を避けて滋味を維持したまま商品化した。

先月から海外向けに発売を始めている。ラベリングやシリアルナンバー表記は手作業のため、1日3,000本の瓶詰めが最大だが、事前の調整は可能といい、海外に積極的に展開していく方針だ。

■県産の桃を使ったビールも

今回の見本市が初の海外出展となったのは、クラフトビールを製造する吉田(和歌山県和歌山市)だ。「AGARA CRAFT」ブランドからペールエール、バイツェン、IPA、ピーチエールの4種を並べた。このうちピーチエールは和歌山県産の桃を使用。同社の吉田友之代表は、「甘い香りはするが、味は甘くなく、食事の邪魔をしない。クリームチーズと合わせるとおいしい」と提案。来場者の中には他とは違う、目立つ商品を探す香港人バイヤーもいて、彼らには受けがよいという。

香港には、日本への好感度や市場参入のしやすさのほか、市場の規模から物量的に輸出に対応できる可能性が高いとして市場参入を狙う。台湾やシンガポールも有望市場として候補に挙げた。吉田代表は、今回の出展で得られた反応を製品に生かして海外市場を開拓する方針を示した。

ジェトロによると、2017年の日本産酒類の香港向け輸出額は約48億円で、5年連続で増えた。香港は輸出額全体の9%を占め、国・地域別では世界第4位の規模。このうち日本酒は約28億円と香港全体の6割近くを占め、輸出先としては米国に次ぐ。

見本市は10日までで、8日と9日がバイヤー向け、10日が一般公開となる。11回目を迎える今回は33カ国・地域から約1,100社・団体がブースを設け、ワインやスピリッツといった酒類のほか、関連グッズや設備、サービスなどを出品した。オリーブオイルの専用コーナーと有機ワイン・スピリッツの試飲コーナーが初めて開設された。

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