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【タイ】福岡とタイの経済交流拡大へ、総領事館開設で[経済](2018/10/08)

在福岡タイ総領事館が10月1日に開設されたことを記念し、福岡市で3日、「タイ経済セミナー」が開催された。福岡県は2010年に設置したバンコク事務所を通じてタイとの経済交流を推進しており、総領事館の開設をきっかけに経済関係のさらなる発展が期待される。セミナーには150人が参加し、タイ経済への関心の高さをうかがわせた。

タイ経済セミナーで挨拶するアッタカーン駐福岡タイ総領事=3日、福岡市(NNA撮影)

タイ経済セミナーで挨拶するアッタカーン駐福岡タイ総領事=3日、福岡市(NNA撮影)

来賓として出席したアッタカーン・ウォンチャナマース駐福岡タイ総領事は、「福岡は九州の中核県として高い経済の可能性を有しており、工業から農業まで先端技術を活用しつつ、一方で豊かな文化と多様性を守り続けている。このような発展のあり方こそ、タイが目指すべき方向と考える」と挨拶し、福岡県との交流が深まることに喜びを示した。また、スマート・エレクトロニクス、デジタル産業、ロボット産業などに重点を置くタイ政府の産業高度化政策「タイランド4.0」や経済特区(SEZ)「東部経済回廊(EEC)」を紹介し、積極的な投資を呼び掛けた。

総領事館は現在、仮事務所だが、来年早々にも常設事務所が全面的に稼働する予定。管轄地域は九州7県、沖縄、中国5県の計13県と、広範囲にまたがる。

■ASEAN巨大市場にアクセス

東南アジア諸国連合(ASEAN)経済統合の専門家である九州大学大学院経済学研究院の清水一史教授は、記念講演の中で、「タイ、ASEANとともに発展することが、今後の日本、九州、福岡の発展のかぎ」と強調。日本の人口減少が進む中で、総人口6億人を超え、急速に発展するASEAN巨大市場との関係を強化することが重要であり、総領事館開設は大きなチャンスになると言明した。

福岡県内の空港・港からタイへの昨年の輸出額は約1,462億円、輸入額は約1,387億円。輸出品目は半導体などの電子部品、鉄鋼など、輸入品目は自動車部品、天然ゴムなどとなっている。タイに進出している福岡県企業は、TOTOや安川電機、福岡銀行、九電工、山九など17年時点で35社を数える。

清水教授は、09年に福岡市にベトナム総領事館が設置されてから昨年までに、福岡県からベトナムへの輸出額が5.2倍、輸入額が2.3倍、ベトナム進出企業が23社に増えたことを例に挙げ、「既に福岡県と経済関係が緊密なタイの場合、総領事館の設置による経済効果は大きいだろう」と述べた。

■学生の企業研修、政府が支援

セミナーでは、これからタイに進出しようとする企業向けに、タイ科学技術省傘下の国家科学技術・イノベーション政策事務局(STI)による外資企業向け人材育成支援が紹介された。

高齢化社会に向かうタイでは、労働力不足が深刻な問題となっており、人材確保は企業にとって頭の痛い問題だ。STIの人材育成支援は、STIが仲介役となり、大学生や専門学校生を企業に派遣し、企業のニーズにあった技術を身につけさせるプロジェクトで、学生は学校の単位を同時に取得できる。

オペレーター、エンジニア、専門家の派遣の3種類があり、オペレーターの場合、日中は工場で勤務し、勤務時間後に通学する。研修期間は2年間。昨年は日系4社を含む10社、計540人の学生が参加した。給与は他の作業員と同水準で、企業は学生の給与を負担し、学生監督者の人件費はSTIが負担する。また参加企業に対しては減税措置が付与される。

このほか、タイ投資委員会(BOI)からはEECのインフラ整備状況や、投資奨励策の詳しい説明があり、セミナー参加者らが熱心に耳を傾けていた。

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