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【台湾】ジオ・サーチ、台湾3県市で道路の無償調査実施[経済](2018/10/04)

インフラ調査・対策を手掛けるジオ・サーチ(東京都大田区)はこのほど、高雄市と台南市、花蓮県で道路の空洞調査を行った。日本の震災時における台湾からの支援に応える形で、無償で提供する。日本で台風や地震の後に行い、成果を得てきた道路の陥没予防対策の台湾での浸透を目指す。検査結果を日本でまとめた上で、10月末に再び各県市を訪れ正式な結果を報告する予定。

ジオ・サーチは日本から搬入した調査用車両「スケルカー」で道路の空洞調査を行った=台南(同市政府提供)

ジオ・サーチは日本から搬入した調査用車両「スケルカー」で道路の空洞調査を行った=台南(同市政府提供)

ジオ・サーチは9月19~20日、10月1日の3日間、高雄市で総計70キロメートル、9月26日から4日間、花蓮市で総計40キロメートルの道路についてそれぞれ空洞調査を実施。10月2日から2日間は、台南市で総計25キロメートルの検査を行う。

ジオ・サーチの冨田洋社長によると、今回の検査は、今年2月に発生した花蓮地震を受けて同市で陥没予防が必要になるとにらみ、同社から声を掛けて実現した。台湾の駐日経済文化代表処に申し入れ、5月に各市で担当者に向けた説明会を行い、花蓮市からの依頼を得た。高雄市と台南市の反応は振るわなかったものの、8月の豪雨後に道路の陥没が発生したため調査依頼を得たという。

調査には、走行しながら道路の空洞を探査できる車両「スケルカー」と詳細な位置を確認する機器「手押し型地中レーダー」を用いた。発見した空洞は、細い穴を空けて撮影。車両の搬入にあたっては花蓮市政府が台湾政府に臨時のナンバーを申請することで、1カ月限定で入境できたという。

冨田社長は、高雄市と台南市で発生した陥没は16年の台湾南部地震で下水管などが損傷したことが影響したものとみている。地震で古い下水管が割れ、砂が流れ出して空洞ができることによって、大雨の際に陥没を引き起こす原因になるという。

■計6カ所の空洞を発見

検査後、花蓮市で約4カ所、高雄市で2カ所の空洞を発見。正式な検査結果は日本での分析を経て完成する。

冨田社長によると、陥没のうち危険性のあるものは約2割。「地震発生時には危険度が高まるものの、全てを直す必要はなく経過観察することが重要」と語る。また危険が高い空洞は、モルタル系の注入剤でふさぐことで、砂と異なり地盤を強くすることができるという。

「目指すのは“減災”。災害は防げないが、災害時の被害は知恵と技術で抑えられる」と語る冨田社長。検査結果の提出後については、「同社の目的は調査ではなく、陥没予防対策による安全確保。今後も自治体などと情報交換し、日本と同様に防災目的の対策を台湾で進めていきたい」とした。台湾側に向けては「日本の自治体にも相談して欲しい。ノウハウの共有など、日台自治体の防災協力をさらに進めたい」とした。

高雄市の許立明市長、花蓮市の魏嘉賢市長、台南市の李孟諺・代理市長は、それぞれジオ・サーチの無料検査に対し感謝の意を表した。許高雄市長は2日、「日本から先進的な設備と技術を持ってきてくれた上、市民の安全のために協力いただいた」とコメント。李台南市長は「優れた技術を台湾にも導入したい」と語った。

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