【タイ】日本能率協会、製造現場の検定制度を導入へ[経済](2018/10/03)
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は1日、タイ政府の資格認定機関「タイランド・プロフェッショナル・クオリフィケーション・インスティチュート(TPQI)」と、製造現場での人材育成に関する協力の覚書(MOU)を締結した。能率協会グループが日本で実施する生産マイスター検定のタイへの導入を目指す。
日本企業が多く進出するタイでは、タイ人従業員の活用が求められているが、人材育成の余裕がなく、優秀な人材が流出することも多い。
タイ人従業員がスキルを得て、長期的な活躍の道を進める仕組みを作るため、JMAMはTPQIと提携して、生産マイスター検定のタイでの導入と個人学習の支援を目指す。
生産マイスター検定は、JMAMが教材を提供し、能率協会グループの人材開発協会が実施。「管理者」から「若手・新人」までの4階層と、「品質管理」「納期・生産管理」「安全衛生管理」など5つのテーマごとに、自身の役割意識や技能の習得度を測る。
日本では紙のテキストに基づく通信教育の終了を受検の条件としているが、タイではインターネットを使ったEラーニングが発展している。このため、Eラーニングの採用など、タイ向けのプログラムを開発し、日系企業のみならず、タイの製造現場での人材開発に役立てる。
ただ、MOUでは「JMAMとTPQIが、職業基準と評価制度の開発について協議する」との表現にとどめ、具体的な内容には触れていない。
TPQIは首相府直轄の機関で、タイ料理のシェフや花屋など、約50職種について資格認定を実施している。この日の調印式でTPQIのピシット事務局長は「MOU締結が今後のさらなる協力に発展することを期待する」と述べた。
JMAMの長谷川隆会長は「生産マイスター検定は、日本のものづくりのノウハウそのもの。TPQIと協力して、タイのものづくりの進化を支援したい」と話した。