【香港】貿易摩擦で本土撤退、香港の中継貿易減も[経済](2018/09/12)
米中貿易摩擦の激化を背景に、米国のバイヤーが香港企業に対して中国本土での生産から撤退するよう求める動きが強まっているようだ。東南アジアに工場を移転した場合、香港の中継貿易が減少するとの懸念も浮上している。11日付香港経済日報が伝えた。
パソコン関連部品などを生産する香港上場企業、輝煌科技(控股)の黄震副会長は、米中貿易摩擦がもたらす問題は短期的な受注減ではなく、本土からの製造業撤退による長期的な影響にあると指摘。「生産場所をいったん本土から移せば、戻ることはできない。(製品の出荷に当たって)香港を中継することもなくなる」と危機感を露わにした。
黄副会長によると、本土にある米国資本の大規模電子工場が生産ラインのフィリピンへの移転を計画しているという。本土での雇用規模は1万人に上る。本土に工場を持つ香港企業が1億HKドル(約14億2,000万円)を投じ、ベトナムに工場を設けるとの情報もある。
一方、中小企業は本土からの移転が難しいようだ。変圧器メーカー、暉盛実業の呂偉社長は「ローエンドの電子製品を東南アジア生産に切り替えるのは比較的容易だが、中小企業は資金不足に直面している」と現状を説明した。
■当局幹部が警戒感
香港政府商務・経済発展局の邱騰華(エドワード・ヤウ)局長は米中貿易摩擦に関連し、米トランプ政権による中国への制裁措置について「最悪の事態を想定し、状況を注視している」と説明した。邱局長によると、香港の経済団体は第4四半期(10~12月)と来年初頭の輸出に対し慎重姿勢を強めており、政府としても対策を講じる考えを示した。