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【ミャンマー】スー・チー政権2年半、期待外れと欧米機関[政治](2018/08/31)

ミャンマーの国民民主連盟(NLD)による政権が発足して2年半の折り返し地点を迎えるにあたり、シンクタンクの国際危機グループ(ICG、本部ブリュッセル)は28日付の最新報告書で、期待外れの状況だと苦言を呈した。国際的な非難を受ける西部ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題の解決に向けた目に見える進展と、人道的な道義に基づく姿勢を持つことが最優先課題になると指摘している。

「ミャンマーの変化棚上げ」と題した報告書で、ICGは、2016年3月末にアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が率いるNLD政権が発足してから今年9月末までの2年半が、軍政の権威からの脱却の重要フェーズだったと分析。その期間を振り返り、「結果的には、スー・チー政権は統治能力に欠けており、大量のロヒンギャが(バングラデシュに)逃れざるを得ない状況を共謀したようでもある」と指摘し、ロヒンギャ虐待への国軍の関与に関わる調査に踏み込めない政権の姿勢を問題視した。

経済政策や少数民族武装勢力との和平交渉についても停滞し、戦略を打ち出したり、難しい判断を下したりすることができていないとしている。また、今年3月末に就任したウィン・ミン大統領については、省庁幹部の汚職摘発などで一定の成果を出しているものの、専門知識を持つ顧問などの補佐役を与えられず、多くの決定権限はスー・チー氏に集中しているともコメントした。

報告書は、結論として、現在のミャンマーの国際的評価、スー・チー氏個人への評判を落としているロヒンギャ問題を最も深刻視し、国連機関などと関係を密にして解決に取り組むべきだと締めくくっている。ミャンマー政府が協力を拒む国際刑事裁判所(ICC)の関与も必要だとした。

一方、2020年の次期総選挙では、現政権がこのまま成果を上げられなかったとしても、スー・チー氏の個人的な人気と対抗する有力な野党の不在を背景に、NLDが多数の議席を獲得しそうだとも予測。20年以降に大きな政治的変化が起きる可能性が高いと指摘している。

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