【タイ】首相が日本パビリオン訪問=タイ科学技術博[経済](2018/08/20)
タイの首都バンコク郊外で16日から「タイ科学技術博覧会2018」(科学技術省主催)が開かれ、大勢の来訪者でにぎわっている。17日にはプラユット首相が会場を訪れ、日本パビリオンも見学した。
博覧会は1984年以来、毎年開かれている。今年はタイ内外から100の省庁・政府機関、企業、団体が参加。テーマに「生活の向上と持続的発展を求めて創造力を働かせよう」を掲げた。
深刻化する地球規模のごみ問題に対応して、ごみの分別収集を促すコーナーや、デジタル社会の到来を踏まえてデータ・リタラシー(データの取り扱い方)を喚起するパビリオンが登場した。
また、6~7月に北部チェンライ県の洞窟に閉じ込められた少年ら13人の奇跡的な救出を受けて、洞窟や救出技術をテーマにしたコーナーも設けられ、米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が提供した小型潜水装置も展示されている。
海外からの出展では、日本パビリオンに内閣府宇宙開発戦略推進事務局や宇宙航空研究開発機構(JAXA)など10機関・団体が参加している。
JAXAは、陸地観測衛星「だいち2号」の模型を展示。同衛星は、タイの洞窟救出劇でも洞窟の岩の割れ目や水のある場所を観測してデータをタイ側に提供した。また、7月のラオスのダム決壊でも、洪水の起きた場所のデータをラオス政府に提供した。
内閣府宇宙開発戦略推進事務局は、数センチ単位で地上の測位ができる準天頂衛星システム「みちびき」の模型を展示。みちびきはアジア太平洋諸国向けに11月にサービスを開始する予定で、タイをはじめ各国の政府企業の利用が期待される。
17日午前、プラユット首相は会場で演説。「タイが『中進国のわな』に陥らないためには、技術革新に立脚した社会を作り、政府が打ち出した産業の高度化策『タイランド4.0』を推進する必要がある」と訴えた。
首相はその後、場内の展示を視察。日本パビリオンでは、佐渡島志郎・駐タイ大使らに案内されながら、だいち2号やみちびきの模型に見入っていた。
博覧会はバンコク北郊ノンタブリ県ムアントンタニの展示会場「インパクト」で、26日まで開催し、120万人の来場者を見込んでいる。