【マレーシア】ナジブ前首相の逮捕近い=マハティール首相[社会](2018/07/02)
インドネシアを公式訪問しているマレーシアのマハティール首相は6月28日、政府系投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)を巡る汚職事件で、捜査当局が近くナジブ前首相を横領の疑いで逮捕するとの見方を示した。ニュー・ストレーツ・タイムズ(電子版)が伝えた。
マハティール首相は「国民はスキャンダルを巡る容疑について、ナジブ前首相を法廷に送るよう求めている。捜査当局は事件の証拠を積み重ねる作業を進めている」とした上で、「(逮捕は)近いと思う。事件を法廷に持ち込むには、十分な証拠を確保することが必要だ」と述べた。
■ロー氏は中東の王族の代理=前首相
一方、渦中のナジブ前首相は、華人実業家、ロー・テックジョー(通称ジョー・ロー)氏が事件を主導したとの主張を崩していない。
ナジブ前首相はマレーシア・キニのインタビューに対し、ロー氏がサウジアラビアのアブドラ前国王一族やアラブ首長国連邦(UAE)の王族と特別な関係にあったとした上で、ナジブ前首相と接触した際、ロー氏が「中東の王族の代理として動いていると話していた」などと説明した。
■1MDBに関係する900口座凍結
ニュー・ストレーツ・タイムズによると、1MDB事件を捜査しているマレーシア汚職防止委員会(MACC)はこれまでに1MDBとの資金の流れに関連した疑いがある900の銀行口座を凍結した。凍結された口座には旧与党連合の中核政党、統一マレー国民組織(UMNO)の主要口座も含まれているという。
また、スターによると、MACCは6月28日朝、クアラルンプール市内でジョー・ロー氏が保有するサービスアパートを家宅捜索したが、目立った押収物はなかったもようだ。
■1MDB、社長を解任
事件の舞台となった1MDBでは6月28日、アルル・カンダ・カンダサミー社長兼最高経営責任者(CEO)が解任された。アルル社長は総選挙終了後、6月末の契約期間満了まで業務から外れ、有給休暇を取得していたが、契約満了2日前に「職務放棄」を理由に解任が通告された。エッジ・マーケッツが伝えた。
アルル社長は債務増大に直面する1MDBの経営立て直しを図るため、2015年1月に合流し、資産売却などを進めた。今年1月には6月末まで半年間、契約が延長されていた。
■前首相の家族、押収品の返還要求
スターによると、ナジブ前首相の家族はこのほど、捜査過程での押収品について、返還を求める法的手続きを開始した。家族は押収品の大半は友人や海外の有力者からの贈り物だと主張している。