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消費増税×老後問題シリーズ-2

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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前回の当シリーズでは、世代ごとの資産形成、諸事情と心構えについて解説しました。

今回は、その土台に基づいて、どのような金融商品を考えるべきかについてお話しましょう。その前提として、筆者は投資運用が精神的負担になってはならないことであると思います。
最近では、会社のトイレに籠って、デイトレまがいの資産形成に励んでいる人もいると報道されています。デイトレは、一時的に思わぬ利益を上げることもありますが、長期的には精神的負担が大きく、本業の業務に相当な妨げとなるため、お勧めできません。
やはり皆さんは本業でしっかりと収入を得るということが基本であると思います。

複利運用の長期投資がおすすめ

筆者は元本を複利で長期投資することをお勧めします。そこで実際年利何パーセントで運用すると、10年後、20年後に資産がどの程度増えるか、表で見てみましょう。

表は複利運用が3%、6%、9%で、元本10万円をそれぞれ20年の期間で運用した場合を示しています。筆者も実際に20年の期間、それぞれの運用利回りで表を作成したのは初めてです。これを見て驚いたことは、3%で20年間複利を運用すると、元本が1.8倍に少なくなるということです。6%では3.2倍、9%で5.6倍になるという事実です。(下段緑丸参照)

この数字を見た方の中には、気持ちが軽くなったのではないかと思います。9%は無理でも、3%、6%は可能ではと思うのではないでしょうか。緑上段丸部分は、10年での運用期間です。3%:1.3倍、6%:1.8倍、9%:2.3倍となっています。特に20代から30代の方は、40代、50代になった時期に、元本がこのようになった場合を想起してください。無理なく運用することの重要性を認識したいものです。
利息及び年間の価格値上り利益を元本に組み入れる複利計算であることが、みそであることを忘れないようにしましょう。

金融商品はどれがよいか

バランス型投資ファンド

それでは、いろいろと紹介されている金融商品を見てみましょう。

①バランス型投資ファンド:世界中の株式、債券、REIT(不動産投資信託)を組み込んだファンドが、各投資運用会社で販売されています。それぞれ特色があるようです。
皆さんの中には、海外の株式、債券は分からないという方、反対に海外の株式、債券には詳しい方がおられるでしょう。またREITについては良くわからないが、現在不動産市場は活況であると新聞紙上で知っている方がおられるのではと思います。
各投資ファンドを比較し、ご自身で詳しい分野があれば、その分野の金融商品の比率が高い商品を適時選べばよいのではと思います。

毎月2~3万円から積み立てることも選択して考えたいものです。金融市場を経験的に見渡すと、毎年数回のミニ金融危機が起き、特に株式市場では大きく変動することがあります。
毎月積み立てるという原則ですから、株式市場が高い場面、低い場面で、ご自身の判断ではなく、機械的に毎月積み立てることから、長い目で見れば平均的な水準で積み立てることが出来ます。証券会社などに任せておくことも必要です。

自分でファンドを適時購入する

上記手法とは異なり、ご自身でファンドを適時購入する場合があります。その場合には、株式、債券、不動産市況が、金融市場に不安定な材料が出て、大きく下げる場合に購入するのが良いです。
例えば、株式市場についてみると、世界の市場が順調に上昇するというのが前提になります。最近で言えば、米中通商交渉が好転し、株式市場が上昇パターンを継続する動きになってきていることです。
プロの運用担当者でも入口、出口は難しいです。長期的視点で、金融市場が拡大するという見方が支配的であるのなら、大きく価格下落の場面でのファンド購入が理想的です。しかしそれは大変難しく、そして精神的負担は大きいのではと思います。
「ナイフは落ちる局面では拾ってはいけない。」という投資のことわざがあります。ご自身で投資環境を研究し、セミナーなどを利用し、投資情報を収集することも必要ではと思います。また移動平均線など、テクニカル手法を酷使することも必要です。

くれぐれも元本に利息、価格利益を組み込んだ複利運用の商品であるかを購入時点で確認しておくことが必要です。そうでないと複利運用とはなりませんから、注意しておきましょう。

初心者も始めやすいNISA、iDeCo

②NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金):NISAは政府主導で、国民に貯蓄するのではなく、少額でも積極的に投資運用を促す制度です。
一定の額まで非課税であることが重点で、積極的に資産を運用したことのない方には良いお試し枠の制度と言えます。
一般NISAと積み立てNISAがあり、非課税期間、非課税額がそれぞれ異なるので注視しましょう。これも皆さんの投資経験に応じて、それぞれのスタンスで投資を始めてみてはと思います。

iDeCoに関しては、年金であることから、60歳を過ぎてからでないと引き出せないことに注意しないといけないようです。従って、世代ごとに投資スタンスが変化してきます。
若い20~30代の世代には、海外株式、日本株式などのリスク商品の比重を増やすことも得策です。反対に50代以降の世代には債券に比重を置き、ミドルリスク、ローリスクの商品を増やすことが必要なようです。
この世代には①で紹介したバランス型ファンドを組み入れて、精神的に安定した投資マインドを維持することが必要ではと思います。

海外株式と不動産投資

③海外株式、不動産投資:皆さんの中には海外株式に投資している方もいることと思います。特に米国株式市場では、ダウ平均株価が30,000ドルに迫る活況な市場です。
こちらも年間を通して変動がありますから、長期的に上昇傾向が続くと判断すれば、低くなった局面で購入することが必要です。移動平均線等を利用して、最適な局面を見極めたいところです。
そして為替レートにも注意する必要があります。円が円安傾向なのか、円高傾向なのか見極めることが必要となります。

不動産投資に関しては、REITを利用して投資するのが良いのではと思います。商業不動産、ホテル、物流施設等を組み込んだREITのファンドなど、多くの選択商品があります。こちらも身近な不動産を組み込んだものがおすすめで、東京オリンピック特需のホテル、物流施設などが良さそうです。

まとめ

今回は元本を複利で運用する投資手法を重点に検証しました。目先の大きな投資利益を目指すのではなく、比較的低い利回りで、安定収益を期待できる投資手法を見渡してきました。
そして何よりも精神的負担を受けない投資スタンスの重要性を指摘しました。この意味では、ミドルリスク、ミドルリターンなクラウド商品を複利で長期間継続して運用するのも一つの選択肢ではないかと思います。
積み立て型の資産運用がお勧めです。皆さんのポートフォリオの一定部分に組み込みたいところです。

«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。

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