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ジェンダー・ギャップ、日本は“世界121位”、“先進国最下位”!の衝撃

【転載元】
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男尊女卑──。令和の時代になって化石ともいえるような言葉が、日本にはまだ現実として残っているようだ。

それを証明するランキングとして、男女の格差が、なんと世界で121位だということをご存じだろうか。世界で121位ということは、もちろん主要先進国では最下位になる。この数字は、男性側はもちろん、日ごろ男女差などあまり肌で感じていない人々にとってショックが大きいだろう。

しかしなぜ、こんな調査結果が出てしまったのか、そしてこの現実は日本の社会にどんな影響をもたらしているのか、ぜひ知りたいと思ったので調べてみた。

男女格差を教育、健康、経済、政治の4分野ランクづけ

世界経済フォーラム(WEF : World Economic Forum)が2019年暮れに発表した、世界各国の男女平等の度合いをランキングした「2019年 ジェンダー・ギャップ指数」の結果に驚きが走った。調査対象の153カ国のうち、日本は121位で過去最低の順位にランクイン。同時に、先進7カ国のなかでは最下位で、同じ東アジアの中国や韓国よりもランキングが下……というありさまだ。

ジェンダー・ギャップ指数は、教育、健康、経済、政治の4分野について、14項目のデータをもとに各国の男女格差をランキングづけしたもの。たとえば教育なら識字率や高等教育への進学率、健康では健康寿命、経済では同一労働での賃金格差、管理職の人数差などが調査項目に採用されている。また、国の発展レベルや国民総生産などを考慮したものではなく、純粋に男女の差だけに着目して評価を下している。スコアは男女が完全平等であれば「1」とし、完全不平等であれば「0」とした場合の数値で表されている。

2019年のランキングをみると、1位はアイスランドで、以下ノルウェー、フィンランド、スウェーデンなど北欧の国々が上位を占めている。主要先進国では、ドイツが10位、米国が53位となっており、全体としてアフリカ、中東などアジアの各国が下位に並んでいる(表/ジェンダー・ギャップ指数/2019年の男女平等ランキング 参照)。

政治ジャンルで144位。その“おそまつさ”が全体を押し下げる

では、なぜ日本はこんなに順位が低いのか ──。
4つの分野を見てみると、健康と教育は、40位、91位と順位こそ低いものの、ギャップは0.9台で、他の国と大きな差はない。女性の平均寿命は世界のトップレベルだし、女性の教育水準も比較的高い。

他の国と大きく水をあけられているのが、経済と政治の分野だ。経済は0.598で115位、政治にいたっては0.049で、144位だ。最下位からのワースト10に入っており、もうそれ以上後がないほどの順位だ。経済で他国と差がついているのは女性課管理職の少なさ、収入の男女差、それと専門職や技術職の数の男女差などが、足を引っ張っている。

それよりも問題は政治のジャンルでのひどさだ。政治では、下院(日本では衆議院)と閣僚に占める女性の割合、それと大統領や首相といった国のトップが女性だった年数をデータとして用いているが、日本にはいまだ首相になった女性はおらず、数値としては0%になる。さらに、女性の閣僚は1人(調査をとった2019年1月時点)、衆議院の女性の占める割合は10%ちょっとだ。
とくに下院(衆議院)の女性の数については、世界の平均がすでに25%を超えているのに対し、その半分にも満たない状態となっている(表/日本の各分野におけるギャップ指数と順位 参照)。

「女性活躍推進」をうたっている安倍政権だけど?


 
今政権は、発足当時から「女性活躍推進」をうたってきており、2018年には「男女共同参画の推進に関する法律」も施行されている。しかし、実際の政治の場では、ほとんど結果が出ていない。自民党の女性議員の割合は7%、女性閣僚も内閣改造のたびに1人か2人、申しわけ程度にしか就任していない。これでは、世界に置いていかれるのも当然だ。つまり、政治の分野では、日本は男女格差がもっとも大きい、遅れた国のひとつとなっているのだ。そしてそれが、ジェンダー・ギャップ指数総合121位という順位をもたらしていることになる。

日本の政治は男女格差の面で遅れている……。そう世界から指摘されているにもかかわらず、いっこうに改善されないのはなぜなのだろうか。

それは、これまで日本の政治を常に男性が司ってきたことによる弊害が大きい。世界的に人種・国籍・性・年齢を問わず、人材と働き方の多様化(多様性)を意味する「ダイバーシティー」が叫ばれ、それがスタンダードとなりつつあるなか、日本の政治を牛耳ってきた大方の男性政治家にその声は届いていない。
女性議員を増やすといっても、それを決めるのは男性政治家なので、自らの地位やポジションを覆すような決定はなかなかできないのが現実なのだろう。なかには、無理やり女性政治家を増やすことによって、有能な男性政治家の道を阻むことになる……などと、平然とのたまう政治家まで存在しているのも事実。こうした考え方や発言は驚きの発言であり、世界的に見て非常識かつ恥ずべき発言でもある。

政治の場で男女格差を減らす。その意味を考える

国民の半数は女性なのに、自らの生き方を男性にゆだねられている現状は異常でしかない。そして、男性の政治家にはその現状が理解できていない。実際のところ、女性の議員が増えれば、女性を差別する政策は徐々に改善され、むしろこれまで届かなかった声が新たに政策に反映されるのは間違いないだろう。たとえば、女性の職場での地位の向上、性暴力に対する厳しい監視の目、家庭内での女性の立場の向上、子育てを支援する体制・制度など。
これらは現実に向き合ってきた女性ならではの発想や視点が、ぜひとも必要なはずだ。

いま求められるのは、かたくなな男性の政治家や企業トップの意識改革であることは間違いないが、そしてもうひとつ、加えて同じくらい大切なことが「女性の意識の改革」だ。女性に選挙権が与えられたのは先の大戦後のことで、まだ70年そこそこの歴史しかない。これまでの日本の風土、文化を振り返れば、女性の意識のなかに政治は男性が行うもの、表立って立ち上がるものではない、という考えがまだ残っているのも事実。この考え方を“奥ゆかしい”と表現すれば聞こえはいいが、先頭に立つのはめんどう、事が起こったときに責任をとりたくない、などのネガティブな発想と根は同一のものだ。

自分たちの生き方は自分で決める、これまでのように、男性に生き方をゆだねるという発想を見直すことが、日本の政治を変えることにつながるはずだ。

──ジェンダー・ギャップ指数が示した世界121位、先進国中においても堂々の最下位は、日本人にとって大きなショックだし、恥ずべきことだ。どんな場面でも男性と女性は対等であるべきだし、ものごとを進めるときの決定権は常に両者にあるはず。せっかく長い努力を重ねて健康と教育の分野で世界に追いついてきたのだから、経済と政治の分野でも改革を進めて追いつく努力をしなければならない。そのためには、男女ともこれまでの反省をいかし、積極的な意識改革を図ることが大切だ。

≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロデュースを手掛けている。

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