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10年後、温暖化による労働損失が260兆円に!環境問題と経済の関係、企業が取り組んでいること

【転載元】
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地球温暖化はどこまで進んでしまうのか──。今夏、フランスでは過去最高の45.9度を記録し、北極圏のグリーンランドでは、わずか1日で125億トンもの氷が溶解し、その量はグリーンランドで観測史上最大といわれています。

このまま温暖化が進めば、生物多様性の損失、干ばつ、水不足による食糧問題、インフラ等の甚大な被害をはじめ、健康、暮らしへの悪影響などさまざまな問題が浮上すると考えられていますが、労働問題もそのひとつとなりそうです。
新たに発表された温暖化による労働生産性低下のニュースから、再生可能エネルギーへと舵を切り始めた経済界の取り組みをご紹介しましょう。

農業分野はじめ、深刻な労働損失が発生

今夏の日本でも暑い日が続き、熱中症対策が盛んに叫ばれましたね。熱中症には至らなかったものの、あまりの暑さによってストレスが生じ、仕事が思うようにはかどらなかった……という人も多かったのではないでしょうか。

そうした中、このまま地球温暖化が進むと仮定した場合、労働生産性低下による経済損失が2030年には世界で約2兆4000億円ドル(約260兆円)にのぼる可能性がある、と国際労働機関(ILO)が発表。
この数値をフルタイム労働に換算すると、約8000万人分の雇用に相当する生産性が失われる可能性に匹敵します。

ある試算によると、今後50年で1年ごとに新潟市レベル(2015年度の人口/約81万人)の巨大都市が消えていく「人口激減時代」に突入した日本では、約50年後に現人口1億2000万人から4000万人以上が減るともいわれていて、将来的に日本の人口は約8000万人になるともいわれているのです。つまり、将来の日本の人口に匹敵する雇用=生産性が失われることになるのです。

特にその影響・傾向は途上国で顕著であり、南アジアで5.3%、西アフリカで4.8%の生産性が失われると試算されています。中でも特に、屋外作業を行う農業部門や、建設部門、廃棄物回収、輸送や観光業での影響が深刻とされ、農業部門では世界全体で労働時間の60%を“熱ストレス”で失ってしまう可能性があると指摘されているのです。
このまま温暖化が進めば、途上国ほど農作物等にかかる損害が大きくなるといわれていますが、労働問題についても深刻な状況に置かれてしまう可能性が出てきたといえます。

2100年には、気温が4.8度上昇との予測も!

そもそも地球温暖化の原因とは、産業革命以来、エネルギーを生み出すために石油や石炭などの化石燃料を大量に燃やし続け、大気中に二酸化炭素などを排出し続けた結果、温室効果ガスが増大してしまったことにあるとされます。

太陽から発生する光のエネルギーは地表を温めますが、地表面から放出されたその熱(赤外線)は、また大気圏へと戻っていきます。
このとき地球をぐるりと包んでいる温室効果ガス(成分は二酸化炭素、一酸化二窒素、メタン、フロン類)が、まさに温室の囲いのような役割を果たすことになり、地球は冷えすぎず、暑すぎず、適正な温度を保つことができていました。

ところが、人間の活動によって温室効果ガスはまたたく間に増加。地表面からの熱が放出されにくい環境になってしまったことで温暖化が進み、大きな問題になってしまった現状にあります。ここまでご紹介したことについては、すでに多くの方がご存じのことですが、昨今驚くべき数字が発表されたのです。
それは、このままの状態が続けば、2100年には最大で平均4.8度前後も気温が上がるという予測なのです。

国際的な取り組みとして、2015年のCOP21で、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2度未満、できれば1.5度以内に抑えるための努力や、今世紀中に人間活動による温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという「パリ協定」が合意されました。
その後、米国がパリ協定からの離脱を表明し、国際社会から批判を浴びましたが、カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州はパリ協定を支持する意向を発表。
さらに、グローバル企業を中心に低炭素社会に向けた取り組みも広がっているのです。

大企業が参加する「RE100」とは

その一例として、IT企業から金融、自動車製造まで、世界各国の有名企業が参加している気候変動のためのイニシアチブ「RE100」があります。「RE100」とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを決めた企業が加盟できるもので、企業はそれを宣言することが求められます。

たとえば、この「RE100」に加盟しているGoogleやApple、Facebookなどは、すでに風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーに大規模投資しており、2017年にGoogleが、翌年の2018年にはAppleが、世界のオフィスやデータセンターなどすべてを、100%再生可能エネルギーで運用し始めたと発表。

今、こうしたエネルギー転換をビジネス上の観点から判断・実行していく企業は増えており、日本でも、RE100と連携する日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)へ参加する企業は100社を超える数におよんでいます。
今後このような流れが生まれ、さらに加速することによって、再生可能エネルギーへの投資やコストダウンが進むことも期待されています。

企業の取り組みなどによる変革と脱炭素社会に向けたイノベーション(──たとえば電気自動車のような)が世界をどう変えていくのか……。
温暖化問題による経済的損失も大きくなると試算されるなか、経済と環境の両立に期待したいものですが、大人たちの勝手な事情によって、地球の自然環境が損なわれていく状況が放置されてきました。
その結果、今、大きな問題になっている気象の変化による豪雨、大型台風など、「観測史上初めて」「100年に一度」といった言葉で表される過去に例のない気象状況は、日本にとどまらず、地球規模で深刻な被害をもたらしています。

さらに、目に見えないところでも、地球の気温が1度上昇するだけで、作物の生産高が落ちる……、飲料水等の水が地域的に減少する……、海域や地上の生態系が破壊される……、生物多様性や絶滅リスクが高まる……といった深刻な事態を招くことが明らかになっています。

──今できること……。それは国、行政、企業にとどまらず、私たち個人にとってもたくさんあるはずです。私たちは、あらためてそうした点に気をつけて生活していきたいものですね。

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫ 
千葉出身。金沢在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。

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