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今年3月の発行が期待される、みずほFGのデジタル通貨「Jコイン」とは?

【転載元】
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みずほフィナンシャルグループが、独自のデジタル通貨「Jコイン」を2019年3月に発行 ── とのニュースが昨年末に全国紙で報じられ、金融界やネットなどで話題となっています。

みずほは2017年、当時社長だった佐藤康博会長が「Jコイン構想」を表明。同年10月から、電話・SNSを用いた送金機能やスマホを使ったQRコード決済システムなど、デジタル通貨の運用に向けた実証実験を進めていました。バンク系のデジタル通貨については、三菱UFJフィナンシャルグループが開発中の「MUFGコイン」が先行スタートすると見られていましたが、今年3月にみずほのサービスが始まれば、メガバンクが扱う日本初のデジタル通貨となります。

そこで今回は、いま注目される「Jコイン」とは何なのか……、その目的や導入の背景、利用できるシーンやメリットなどをまとめて解説します。

日本円と連動・等価交換できる実用的なデジタル通貨

「◎◎コイン」と聞くと、ビットコインなどの仮想通貨を思い浮かべるかもしれません。
みずほが発行するJコインは、日本円の価値と連動・等価交換できる電子マネーと同様のデジタル通貨で、一般的な仮想通貨のように価格が変動することはありません。価格は1コインあたり1円で固定され、買い物のキャッシュレス決済などに利用できるほか、送金手数料ゼロでデジタル通貨をやり取りすることができます。

また、決済サービスを利用する加盟店に対しては、決済手数料をクレジットカードの手数料率(4~8%)より低い水準に抑え、顧客から支払われたデジタル通貨は、自社の法人口座へ即時に無料で送金可能。加盟店のコスト負担や業務を軽減することで、幅広い店舗への導入・サービス網の拡大を図る狙いです。

一方、ライバルとなる三菱UFJも2015年から、日本円に連動する独自のデジタル通貨「MUFGコイン」の開発を進めており、当初の予定より発行が遅れているものの、2019年中にはサービスを開始すると見られています。
ただ、MUFGコインが三菱UFJ単独の枠組みで展開されるのに対し、Jコインはみずほ銀行に加え、ゆうちょ銀行と約60の地方銀行も共通ブランドでサービスを提供する予定となっており、提携ネットワークの充実度という点では、Jコインが一歩リードしているようです。

ブロックチェーン技術を用いた、Jコインの強みとメリット

ユーザーはJコインの専用アプリをスマホにダウンロードすることで、銀行口座からJコインの残高をチャージし、店頭でのQRコード決済やP2P(個人間)送金、ポイントの獲得・利用など、多様なサービスとメリットを享受することができます。
日本では現在のところ、個人・法人の銀行口座間でP2P送金できる電子マネーはほとんどありませんが、デジタル通貨のJコインは「Jコイン口座」を持っている人・企業同士であれば、いつでも手数料無料で相手の口座へ送金可能。銀行が提供するデジタル通貨ならではの強みといえそうです。

また、Jコインのシステムはブロックチェーン技術を用いており、銀行の決済システムを通過する回数を最小限にして手数料を削減するだけでなく、利用履歴の記録によるデータの改ざん防止など、より安全性・信頼性を高めています。さらに、事業者はブロックチェーン上に記録されたビッグデータから、ユーザーのニーズや傾向、消費行動や通貨の流れなどを分析。より的確なマーケティングで最適なレコメンドを提供するとともに、商品開発や価格戦略など新たなビジネス展開にも活用できるというわけです。

現金決済に伴う、年間8兆円の損失コストを削減するために

みずほが掲げる「Jコイン構想」の背景には、日本国内の高い現金決済比率(60%強)に伴う、多大なコストを削減するという狙いがあります。

国の商業統計・民間給与実態統計(2015年度)から試算すると、現金の取り扱いによって発生する国内の年間コストは、金融業界(現金管理・ATM運営維持費など)で約2兆円、小売・飲食業界(現金取扱業務人件費など)で約6兆円と、社会全体で約8兆円におよぶとされています。

ちなみに、世界先進国における現金決済比率平均は32%と、日本の2分の1程度の水準です。これは、日本がキャッシュレス化という点で大きく後れをとっているだけでなく、世界の経済競争や国際社会からも取り残される可能性を示唆しています。
とくに、少子高齢化・人口減、深刻な人手不足などの諸問題に直面する日本では、現金決済によって生じる社会的・経済的な損失は大きく、さらなるキャッシュレス化の拡大こそが、社会問題の解決や経済成長のための重要な切り札となっているのです。

Jコインの普及で年間10兆円の経済効果が見込める

こうした状況を受け、Jコイン構想では「キャッシュレス化が遅れた日本に、業界や組織の枠を超えた利便性の高い決済・データのナショナルインフラを提供していく」としたうえで、Jコインの普及が進めば、小売・飲食産業や金融機関の経費削減などで、年間10兆円の経済効果があると試算。
将来的には、銀行ならではの強みを生かし、給与振込や経費精算といった資金移動にも、Jコインの活用を進めていく方針を打ち出しています。これからは、会社の経費や給料もデジタル通貨で支払われる時代になるのかもしれませんね。


── 以上、みずほFGから発行されるデジタル通貨「Jコイン」の概要を見てきました。
2019年1月末の現時点では、コインの発行日やブランド名などの詳細は正式発表されていませんが、新聞で報道された3月中の発行が実現すれば、日本初のメガバンク系デジタル通貨がデビューすることになります。
各社の電子マネーや「◎◎Pay」など、多様なキャッシュレス決済サービスが乱立する中、メガバンクの強みを生かしたニューフェイスのデジタル通貨が、どのような形で存在感を示していくのか……。大いに期待されるところです。

※参考資料/日本経済新聞、経済産業省(みずほFG/Jコイン構想PDF)

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫  
20年以上にわたり、企業・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌・各種サイトなどの記事を執筆。長年の取材・ライティング経験から、金融・教育・社会経済・医療介護・グルメ・カルチャー・ファッション関連まで、幅広く・深く・オールマイティに対応。 好きな言葉は「ありがとう」。

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