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広がるオーガニック食品市場。東京五輪も追い風に

【転載元】
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消費者の健康志向・安全志向の高まりとともに、オーガニック食品への注目が高まっている。

さまざまなアレルギーやウイルスに悩まされている現代人にとって、「何を食べるか」は非常に大きな問題なのだ。

もっとも、欧米諸国では一般的になりつつあるオーガニック食品も、日本ではまだまだ“ニッチ”マーケット。しかし、最近は日本国内においてもオーガニック食品への見方も変わってきているようだ。そこで、いま注目されるオーガニック食品市場の展望を探ってみよう。

堅調な伸びを見せているオーガニック食品市場

そもそもオーガニックとは、農薬や化成肥料、遺伝子組み換え技術に頼らず、太陽、水、土、そしてそこに生息する微生物などの自然の恵みを活かす農林水産業や加工方法のこと。その方法で生産された有機食品がオーガニック食品ということになる。

オーガニックだから必ずおいしくて安全だとは言いきることはできないが、人工的な製法で作られる製品に比べればリスクが低く、安心して食べられる食品と言える。

矢野経済研究所の調査によると、2017年の国内オーガニック食品の市場規模は、前年比102.3%の1785億円。ここまで、年率1~2%増で拡大を続けているという。

また、小売業者やホテル・外食業者などの100社を対象としたアンケート調査では、オーガニック食品を「常に取り扱い/使用している」と答えた業者は49.0%。「時節によっては取り扱い/使用することがある」の6.0%と合わせると、取り扱っている業者は全体のおよそ半数。逆に「取り扱ったこと/使用したことはない」と答えた業者は44.0%だった。

確実に、オーガニック食品への注目度が高まってきていることがわかる。

オーガニック食品市場が拡大している5つの理由

オーガニック食品市場が拡大している理由については、以下のようなことが考えられる。

【理由1】女性だけでなく男性の意識が高まってきている
これまでは女性が関心を示すことが多かったオーガニック食品だが、特に20〜30代の男性の意識が高まってきている。食に対する安心・安全志向は、若い男性にとっても気になることになりつつあるのだ。

【理由2】ショッピングの間口が広がっている
以前は高級スーパーなどでしか手に入らなかったオーガニック食材が、一般的なスーパーなどにも専用コーナーが設けられるようになっている。また、インターネット通販でも気軽に購入できるようになり、オーガニック系外食の店舗も増加している。

【理由3】専門店が増加している
大手流通企業などが展開するオーガニック専門店が増加している。

関東地方、近畿地方にスーパーマーケットを展開するライフコーポレーションは、2016年、大阪市にオーガニック専門店「ビオラル」を出店。日本初の本格的なオーガニックスーパーとして注目を集めている。

イオンとフランスのビオセボンの合弁会社は、東京・神奈川に8店舗の「ビオセボン」を展開。化学肥料を使わない野菜、添加物を使わない食材などを扱う専門店が人気を集めている。

オーガニック宅配大手のオイシックス、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の3社が経営統合し「オイシックス・ラ・大地」を設立。有機・無添加食品、ミールキットの通信販売を加速させている。

【理由4】食品以外にも、オーガニック系が広がっている
オーガニックは食品だけでなく、衛生用品や日用品などにも広がっている。

ユニ・チャームは、日本で初めてオーガニックコットンを使用したおむつ「ナチュラルムーニー」を発売。生まれたばかりの新生児や乳児の肌に優しいおむつとして、母親や助産師らからの支持を集めている。

アース製薬は、オーガニックな衣類防虫剤「natuvo」を発売。オーガニックスペアミントにアロマをブレンドした、天然成分100%の防虫剤だ。子供や肌の弱い人、薬剤に敏感な人も安心して使える防虫剤として注目されている。

これら体に優しいオーガニック製品は、食品への垣根も低くしていると言えるだろう。

【理由5】外国人観光客が増加している
オーガニック食品が一般的になっている欧米からの観光客が増加していることも、国内の市場拡大に影響を与えている。今後の市場の伸びは、2020年がきっかけとなりそうだ。

東京五輪がオーガニック食品市場拡大の大きな契機に

オーガニック食品市場は、今後どのように成長していくのだろうか。
市場拡大の契機となりそうなのが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックだ。
東京五輪に出場するために来日する選手への料理はもちろんのこと、欧米からオリンピック観戦に訪れる外国人観光客の増加がオーガニック食品市場に与える影響は大きそうだ。

来日インバウンドを狙って、2020年にオーガニック食品を扱う店舗が一気に増える可能性がありそうだ。当然、2020年以降もその影響力は残り、オーガニックの手軽な加工食品やオーガニックレストランなど、消費者のオーガニック食品需要が急速に増加すると見込まれている。

矢野経済研究所は、2022年には国内オーガニック食品の市場規模が2017年比110.0%の1964億1000万円になると予測している。

観光立国に大きなオーガニックビジネスのチャンス


日本はいま観光立国を目指し、2018年の訪日客数は3119万2000人となった。消費額は4兆5000億円(速報値)となり、いずれも過去最高となっている。2020年は訪日客数4000万人、消費額8兆円を目指している。

外国人にとって、すでに和食はヘルシーというイメージが出来上がっている。その和食にオーガニック食品を使うということになれば、さらにヘルシーなイメージは強固になるはずだ。訪日する彼らをもてなすために、和食とオーガニックを組み合わせ、ヘルシー志向を強めていくことで、国内のオーガニック食品市場はさらに拡大していくことになるのではないだろうか。

── 「和食+オーガニック」。
ここに、これからの外国人向けビジネスの、大きな鉱脈が埋まっているような気がしてならない。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車など。

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