【マレーシア】操業規制で苦境の自動車業界[車両](2021/07/28)

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新型コロナウイルスの流行が続くマレーシアでは、感染抑制のための操業規制で自動車業界は苦境が続いている。業界関係者は8月までの操業再開に期待を寄せるが、足元の感染状況では見通しは厳しい。唯一の明るい話題は新車需要が底堅いことだが、半導体不足やロックダウン(都市封鎖)の長期化に伴う納車の遅れが懸念されている。

UMWトヨタは「オンラインショールーム」の機能を充実させ、ロックダウンによる休業期間中も一定の注文を受けている(同社の公式ウェブサイトより)

UMWトヨタは「オンラインショールーム」の機能を充実させ、ロックダウンによる休業期間中も一定の注文を受けている(同社の公式ウェブサイトより)

コロナ禍からの復興の道のりを4段階で示した「国家回復計画」では、自動車業界が生産・販売を全面的に再開できるのは第3期以降とされている。

感染状況の改善に伴い、ロックダウンに相当する第1期から第2期に移行したクランタン、トレンガヌ、パハン、ペラ、ペルリス、ペナン、サバ、サラワク州の8州では最大8割の人員での自動車生産が可能となったが、サバ州を除いて販売は禁止されたまま。一方、国内最大の工業地帯である首都圏のスランゴール州を含む他の地域はいまだ第1期にとどまっており、自動車メーカーは工場の暖機運転のみしか認められていない。

ムヒディン首相が26日に示した新たな基準によると、第1期から第2期への移行には「1日の新規感染者数が人口10万人当たり12.2人未満」となることが必要だ。ここ数日、1万人前後の新規感染者を出している首都圏は、移行基準の達成まで程遠いとみられる。

マレーシア自動車協会(MAA)は先週、6月以降のロックダウンで業界の先行きが不透明になったことに加え、景気低迷による消費マインドの悪化を考慮し、今年の新車販売台数の予測を従来の57万台から50万台に引き下げた。ただ、これは8月までに自動車の生産・販売が許可されることを前提としたものだ。

マレーシア産業開発金融(MIDF)系シンクタンクのMIDFリサーチは26日付の報告書で、通年の販売台数を55万台と予測した。自動車協会よりも強気の見通しだが、こちらも8月までの操業再開を前提としており、「先行きには不透明感が漂う」と指摘している。

地場証券会社JFアペックスの自動車部門アナリスト、ジェイデン・タン氏もNNAに「6月以降の操業停止によって、通年の新車販売台数は5~7%下押しされる」と述べ、販売台数の予測を51万5,000~55万台に引き下げたことを明らかにした。

■売上税減免などは追い風に

不透明感が漂う自動車業界で、唯一の好材料ともいえるのが新車需要の底堅さだ。MIDFリサーチは「(現時点で)メーカー各社には2~4カ月分の受注残がある」と説明している。

また業界首位の国民車メーカー、プロドゥアとトヨタ車の製造・販売を手掛けるUMWトヨタ・モーターを傘下に置くUMWホールディングスは26日付の声明で、長引くロックダウンで消費者の購買経路はオンラインに移行しつつあると指摘。インターネット上の販促活動を強化した結果、ショールームの営業が認められない中でも一定の注文を受けていると明かした。

これは、低金利環境や年末まで再延長された新車の売上税減免措置が追い風になっていることに加え、「旅行などの娯楽が禁じられている中、コロナ下でも収入が安定している層はお金の使い道を求めている」(日系自動車メーカー幹部)という面もあるようだ。

ただ、世界的な半導体不足の影響により、国内の自動車業界ではロックダウン前から生産に遅延が生じていた。これに操業停止の長期化が加わり、売上税減免措置が終了する年末までの納車が間に合わなくなることが懸念される。生産の遅れを取り戻すためには、早期の操業再開が必要となりそうだ。

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