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【インド】ムコール症患者が急増、薬の供給不足の恐れ[医薬](2021/06/01)

インド政府によると、5月26日までに真菌感染症「ムコール症」の患者が全国で1万1,700人以上確認された。6週間の治療に必要なポリエン系抗真菌薬「アムホテリシンB」は290万本(バイアル=注射剤を入れる容器)を超える計算で、輸入と国内生産の増加を見越しても需要が供給をはるかに上回る恐れがある。タイムズ・オブ・インディア(電子版)が5月30日に伝えた。

中央政府によると5月26日までに確認された症例は1万1,717件。22日の時点では8,848件で、4日間で2,869件増加した。

ムコール症の治療では、42日間または6週間にわたり患者1人当たりに1日5~7バイアルの薬を使用する。1人の治療に必要な薬の総量は約250バイアルとなる。患者の数が1万1,700人とすると、1日当たり約7万200バイアルが必要だ。

政府は5月22日以来、15万バイアル以上を調達し配布した。生産能力は5月の16万3,000バイアルから6月には25万5,000バイアルに増える見通し。

ゴウダ化学・肥料相によると、5月には36万3,000バイアルが輸入され、国内生産を含めて合計で52万7,000バイアルが利用可能になる。6月は31万5,000バイアルを輸入し、合計で57万バイアルが利用可能になる。

中央政府は、患者数に基づいてアムホテリシンBのバイアルを各州に割り当てているという。一方、北部デリー、パンジャブ州、西部マハラシュトラ州などは中央政府の統計より多くの患者がいると主張している。マハラシュトラ州では少なくとも1日当たり1万4,000バイアルが必要だが、受け取っているのは4,000~5,000バイアルとの報告もある。

インドで使用されているアムホテリシンBは2種類あるが、安価な方でも1バイアル当たりの費用は約2,000ルピー(約3,000円)に上る。薬代だけで50万ルピーかかるため、多くの人にとって、治療は手が届かない恐れも高い。

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