【台湾】経済部長、在宅勤務を要請[経済](2021/05/24)
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台湾経済部(経済産業省)の王美花部長(経産相)は22日、衛生福利部(衛生省)中央流行疫情指揮中心の記者会見に出席し、企業に在宅勤務の導入を進めるよう要請した。台湾で新型コロナウイルス感染症が急拡大した5月中旬以降、政府高官自ら呼び掛けたのは初めてとみられる。同日にはファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の従業員の感染が確認され、生産維持へ対策を講じるよう求めた。
王氏は、総務・管理部門や研究開発(R&D)など在宅勤務に適した業務を担当している従業員に関して、半数を在宅勤務とするよう要請。一方、企業の中核事業のうち生産ラインを担当している従業員に関しては、労使間で協議を行い、分散勤務などを導入するよう調整を促した。
23日付経済日報によると、王氏は「台湾の半導体やIT業界は製品を世界に供給しており、製造業の事業を継続していくことは非常に重要だ」と強調した。
一方、工場の生産ラインで感染者が確認された場合は直ちに事態に対応する体制を取り、当局に連絡するよう企業に注意を促した。科学園区や地方政府と連携し、感染経路などを早期に調査することで感染拡大を抑え込み、生産活動と防疫を両立してほしいと説明した。地域をまたいだ移動を避けることも要請した。
■TSMCと世界先進「運営に影響なし」
政府が改めて企業にコロナ対策を呼び掛けた背景には、台湾経済を支える製造業でも従業員の感染が確認されていることがある。22日にはTSMCの30代男性エンジニアの感染が台中市政府の発表で明らかになった。
エンジニアは14~15日に台北市の実家で過ごした後、16日の勤務中に接触者が感染していたことが判明。自宅に戻って自主的に隔離を始めた。18日に発熱し、19日の検査で陽性反応が出た。現在は入院治療を受けているが、症状は軽いという。
中央通信社などによると、TSMCは感染が確認されたエンジニアと近距離で接触していた10人余りを特定し、14日間の自宅隔離とした。現時点で不調を訴えている人はいないという。引き続き健康状況を調べるとしている。また、エンジニアの職場と公共スペースの消毒を強化するなどの対応を取った。
同社は従業員の感染について、「会社の運営に影響はない」と強調している。
一方、TSMC傘下で、8インチウエハーを専業とする世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)は22日、桃園市の工場の従業員1人が新型コロナウイルスに感染したことを確認したと発表した。症状は軽いという。
従業員は先ごろ、台湾政府からコロナ感染に関する警告のメッセージを受け取り、自主的に抗原検査を受けたところ、17日に陽性反応が出た。
世界先進は17日に社内の接触者を割り出し、隔離を実施。桃園工場では全面的な消毒作業を行った。18日以降は域内の生産部門以外の従業員に在宅勤務を命じた。
世界先進によると、感染が確認された従業員は生産に直接関わる人員ではなく、同社の運営に影響は出ていないという。