【台湾】指揮中心、中華航空のパイロット全員を隔離[社会](2021/05/12)
台湾衛生福利部(衛生省)の中央流行疫情指揮中心は10日、台湾航空大手の中華航空(チャイナエアライン)のパイロット全員に対し、14日間の隔離を義務付けると発表した。同社パイロットの感染に端を発した新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)拡大が続いていることを受けた措置。
11日付工商時報などが伝えた。同中心はパイロットを「安全グループ」と「リスクグループ」に分類。安全グループは14日間の隔離を終えた人、リスクグループは隔離や検査を終えていない人とし、両グループの人員を交ぜての運航を禁じる。
現在域外にいるパイロットは、台湾に戻った後に集中検疫所で隔離する。域内にいるパイロットは自宅隔離とする。
客室乗務員については、長距離路線に乗務またはリスクグループのパイロットと同じ便に乗務した場合、14日間の隔離対象とする。
対象者は14日間の隔離終了後、検査で陰性が確認されてから公共の場所に出入りできる。
同中心の陳時中指揮官は「中華航空内でウイルスがまん延しており、原因を特定できないため、苦渋の決断をした」と強調。
中華航空のパイロットと客室乗務員は4,000人以上に上るとみられる。
中華航空関連では、11日時点でパイロット12人、パイロットの家族11人、同社が乗務員の検疫場所に利用していた台北諾富特華航桃園機場飯店(台北ノボテル桃園国際空港ホテル)の従業員7人、従業員の家族3人の計33人の感染が確認されている。
■空運運賃さらに上昇か
物流業界では、同措置による空運運賃のさらなる高騰が懸念されている。
中華航空は同中心の決定を受け、8~11日に運航を予定していた台湾から東京、大阪、香港などに向かう貨物便と旅客便計6便を取り消した。業界では、今後2週間で運航予定の半数近くが取り消しになると予測されている。
空運は需給逼迫(ひっぱく)が続いており、5月分の航空輸送は全て埋まっている状態。6月の運賃はさらなる高騰が予想される。直近では自動車部品や健康器具などのハイエンド製品の空運需要が強いという。
■ファウンドリー輸出に影響なし
台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC、聯電)の台湾ファウンドリー(半導体の受託製造)大手2社は10日、同措置を巡り、そろって「製品の輸出に影響はない」と表明した。