【シンガポール】市中感染拡大で規制強化[社会](2021/05/03)
シンガポール政府は4月30日、新型コロナウイルス関連の規制を強化すると発表した。5月14日までの2週間、複数人で集まることを1日2回に限定するほか、商業施設などの収容人数を制限する。企業に対しては、可能な限り在宅勤務を導入することを呼び掛けている。規制強化の背景には、過去1週間で市中感染が増加していることがある。感染状況が悪化している南アジア4カ国とタイからの入国規制を厳格化することも決めた。
5月1日~14日に、従来より厳格な感染症対策を導入する。公共の場での複数人での集まりや、他世帯への訪問などを1日当たり2回までとする。
ショッピングモールや、大型の独立型店舗の収容人数制限は、従来の延べ床面積8平方メートル当たり1人から、10平方メートル当たり1人に変更する。
週末に混雑する中心部の商業施設「ラッキープラザ」と「ペニンシュラプラザ」では、日曜日に入館できる人数を制限。NRIC(国民身分証)番号およびFIN(外国人登録番号)の末尾の数字が奇数の人は奇数日、偶数の人は偶数日にのみ入館を許可する規制を再導入する。
キャンプ場のほか、公園や公営住宅(HDBフラット)、コンドミニアムに備え付けのバーベキュー場は閉鎖する。
企業に対しては、可能な限り在宅勤務を導入することを求める。職場での懇親会も控えるよう呼び掛けている。
シンガポールでは新型コロナの感染対策として、昨年4月に重要産業以外の事業所や店舗を閉鎖する「サーキットブレーカー」措置が導入されたが、同年6月から段階的に規制が緩和された。今年4月5日からは職場での勤務制限が一段と緩和されていた。
政府は、4月30日までの1週間のうち6日間で市中感染が確認されるなど感染リスクが高まっているため、規制を強化することにした。同月29日には16人の市中感染が判明し、約9カ月ぶりの2桁台を記録。新たなクラスター(感染者集団)も発生していた。
■さらなる規制強化も視野
政府は4月30日、新型コロナの感染が拡大している国・地域からの入国規制も強化すると発表した。過去14日間に、乗り継ぎを含めてバングラデシュ、ネパール、パキスタン、スリランカの南アジア4カ国に渡航歴のある長期滞在ビザ保有者と短期滞在者の入国を5月1日午後11時59分から禁止する。シンガポールでの乗り継ぎも認めない。
これら4カ国に渡航歴があり既に入国済みの人については、2日午後11時59分までに14日間の待機措置(SHN)を終えていない場合、追加で7日間のSHNを政府指定の施設で受けてもらう。
過去14日間にタイへの渡航歴のある人には、2日午後11時59分以降、政府指定の隔離施設で14日間のSHNを再び義務化する。これまでは自宅でのSHNを認めていた。
ガン・キムヨン保健相は、4月30日に行われた会見で「向こう数日間の感染状況が非常に重要だ。広範囲で感染が広がる可能性がある場合、さらなる規制を導入する必要がある」と指摘。感染を食い止めるため、ワクチンを接種済みの人も含めて規制を守り、責任を持って行動してほしいと呼び掛けた。