【韓国】コロナ第4波の懸念高まる[社会](2021/04/26)
韓国で、新型コロナウイルス感染症の「第4波」の懸念が強まっている。平日の1日平均の新規感染者数は800人台に迫っており、すでに現行の警戒レベルの水準を超えた。韓国政府は、感染防止と経済活動の両立に向けて、現行の防疫措置の柔軟性を高めた新たな枠組みを設ける調整に入った。
19日からの1週間の新規感染者数は平均682人に上り、23日は797人と約3カ月半ぶりの高水準を記録した。春の行楽シーズンで人の移動が活発になったことなどが影響している。
現在の警戒レベルは首都圏(ソウル市・京畿道・仁川市)で「2段階」、非首都圏で「1.5段階」が適用されているが、基準となる1週間あたりの平均国内感染者数は668人に達し、すでに「2.5段階」(全国400~500人以上)の水準に迫る勢いだ。
感染事例はこれまでの首都圏中心から全国に拡大しており、「チェサ」と呼ばれる家族で行われる祭祀や観光地、宗教施設などで集団感染が相次いでいる。首都圏と非首都圏の感染割合は3月まで8対2だったが、足元では6対4の比率に近付きつつある。
中央事故収拾本部のユン・テホ防疫総括班長は、23日のブリーフィングで「増加速度は今のところ緩やかだが、このペースが続けば防疫と医療の観点から負担が大きくなっていくのは間違いない。爆発的な感染拡大にも警戒する段階にきている」と述べた。
■ワクチン効果は下半期以降
感染防止対策の鍵を握る新型コロナワクチンの接種状況は、1回目の接種を終えた人が25日時点で約226万人程度と、総人口比では4%に満たない水準だ。ワクチン接種で感染が減少局面に入るのは、早くても1,200万人が1回目の接種を終える6月末以降になる見通しだ。
第4波の懸念が高まる中、韓国政府は「防疫」か「経済」かで難しい舵取りを迫られている。第4波を封じるには感染防止対策の強化が必要となるが、警戒レベルを引き上げれば自営業者や中小企業への打撃が大きく、追加の強化措置を打ち出せないジレンマが続いている。
■警戒レベル4段階に簡素化へ
これを受けて韓国政府は、警戒レベルの新たな枠組みを設ける調整に入った。現在は5段階(「1段階」「1.5段階」「2段階」「2.5段階」「3段階」)に分けている指針を4段階に簡素化する。段階ごとの規制に大きな差があり、一部業種に負担が偏る現行基準を緩和する狙いがある。
また、現在実施されている「5人以上の私的な集まりの禁止措置」については柔軟性を高める。「1段階」では人数制限を設けず、「2段階」では9人以上の集まり禁止、「3段階」「4段階」では現行の5人以上の集まり禁止を実施する。さらに「4段階」では、午後6時以降は3人以上の集まりを制限する。
政府は26日から1週間、慶尚北道の人口10万人以下の12の郡を対象に試験的に新たな警戒レベルの「1段階」を適用する。試験対象地域の状況をみながら、成果が見込めれば本格的な導入に動く考えだ。