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【カンボジア】日系企業の工場停止相次ぐ、都市封鎖で[経済](2021/04/22)

15日からロックダウン(都市封鎖)が始まったカンボジアの首都プノンペンで、進出する日本企業が工場の操業停止を余儀なくされている。カンボジア政府が、ロックダウン対象エリアで国内向けの食品や医薬品、医療物資を除く工場の稼働を認めていないためだ。当面は、大半の業種がプノンペンでの生産活動の停止を強いられる見通しだ。

プノンペンは15日からロックダウンされ、外出や事業活動が大幅に制限されている。写真は閉鎖されたセントラルマーケットの様子=19日、プノンペン(カンボジア総合研究所提供)

プノンペンは15日からロックダウンされ、外出や事業活動が大幅に制限されている。写真は閉鎖されたセントラルマーケットの様子=19日、プノンペン(カンボジア総合研究所提供)

デンソーは、ロックダウンを受けて、プノンペン経済特区(SEZ)にある自動車・二輪車向け部品工場の稼働を停止した。工場の再開時期は決まっていないという。

亀田製菓は、プノンペン郊外で合弁会社が運営する米菓工場を停止した。生産していた米菓は全量が輸出向けのため、食品でも生産が許可されなかったとみられる。同社の担当者は、「政府の方針に従いつつ、少しでも早く再開できるように調整していく」と話した。

カンボジアの新型コロナの感染状況は他国と比較して落ち着いていたが、2月下旬にプノンペンで新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、市中感染者が急増。一部の陽性者からは感染力の強い変異株が確認され、市場や縫製工場などでクラスターが相次いだ。累計感染者は2月上旬の500人以下から、4月21日時点で7,747人に拡大。死者は54人となった。

こうした状況を受けて、プノンペン当局は10日、市中感染が多いエリアを対象に部分的なロックダウンを実施。しかし、感染拡大に歯止めがかからなかったことから、カンボジア政府は15日、プノンペン全域と、隣接するカンダル州タクマオ市の封鎖に踏み切った。期限は28日を予定しているが、感染者の数が減少しなければ、ロックダウンが長引く恐れもある。

ロックダウンで外出や事業活動が大幅に制限されることから、現地からはカンボジアの競争力低下を懸念する声も上がっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)プノンペン事務所の春田麻里沙所長は、「工場の営業停止が長引けば、世界的なサプライチェーン(調達・供給網)にも影響が出ることとなり、安定的な供給ができる近隣諸国のライバル企業などにシェアを奪われる懸念も出始めている」と指摘した。

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