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【マレーシア】新型コロナ第4波の到来懸念[社会](2021/04/19)

ここにきて6週間ぶりに1日当たりの新規感染者数が2,000人を超えたマレーシアで、新型コロナウイルスの感染「第4波」到来が危惧されている。変異株の流行が脅威となるほか、イスラム教徒の断食月(ラマダン、今年は5月12日まで)に恒例の夜市ラマダン・バザールの開催を容認していることに対する懸念も強い。ムヒディン首相は厳格な活動制限令を全国的に施行しない方針を示しているが、来月半ばにハリラヤ・プアサ(断食明け大祭)が控える中、州をまたぐ移動の制限解除は難しくなっている。

ムヒディン首相は14日に行政都市プトラジャヤで開かれている夜市を視察し、感染防止のための標準作業手順書(SOP)の順守を市民に呼び掛けた(首相府フェイスブックより)

ムヒディン首相は14日に行政都市プトラジャヤで開かれている夜市を視察し、感染防止のための標準作業手順書(SOP)の順守を市民に呼び掛けた(首相府フェイスブックより)

マレーシアでは3月に新型コロナの1日当たりの新規感染者数が減少傾向を示し、一時は3桁台に落ち着いていた。だが、ここに来て再び拡大に転じており、今月15日には2,148人と41日ぶりに2,000人を超えた。

スター(電子版)によると、新型コロナワクチンの供給管理や国家接種計画を主導するカイリー・ジャマルディン科学・技術・革新相は、こうした状況に「変異株が脅威だ」と危機感を示す。マレーシアでは15日時点で、南アフリカ型の変異株の感染者が17人見つかっている。英国型については、同日時点で5人の感染が確認されていることを保健省のノル・ヒシャム・アブドラ保健局長が明らかにした。

今月13日に始まったラマダンでは夜市の開催が認められているが、これが感染拡大を助長することが懸念されている。カイリー氏は「第4波に見舞われる恐れがあり、(ラマダン・バザールの開催を認めた)国家安全保障会議(NSC)の決定を見直す必要がある」との見解を示した。

■全国に厳格な制限令は施行せず

新型コロナの新規感染者が増加に転じているものの、ムヒディン首相は15日に行われた産業界との非公式協議で、再び全国で厳格な活動制限令を施行する考えはないことを改めて表明した。ただ感染者の約83%が製造業関連、特に外国人労働者の宿舎に集中しているとして、宿舎の環境整備と感染対策の徹底を企業側に要請した。

クランタン州では16日から29日まで、全10地区のうち7地区で厳格な活動制限令が敷かれている。現地の情報筋によると、感染者の急増を受けて、州政府から連邦政府に要請があったという。このほか、サバ州サンダカンとタワウでは17~30日の2週間、厳格な活動制限令が敷かれている。

一方、1日当たりの新規感染者数が連日400~500人に達しているサラワク州では、26日まで制限がやや緩い条件付き活動制限令が施行されている。ダグラス・ウガ・エンバス州副首相によると、国家安全保障会議が14日に同州の5地区を対象に厳格な活動制限令を発令したが、後からこれを取り下げたという。

ダグラス氏は、サラワク州災害管理委員会(SDMC)が感染リスクに応じて地区や対象者を限定し、「強化された活動制限令(PKPD)」を導入する可能性はあると説明。サラワク州では感染者の急増で医療従事者が不足しており、連邦政府が近く全国から保健省の職員430人を同州に派遣する見通しだ。

■ラマダン明けの帰省難しく

アダム・ババ保健相は15日、ハリラヤ・プアサを前に州をまたぐ移動の制限解除を先送りする方針を明らかにした。変異株の感染リスクとワクチン接種がまだ進んでいないことの二つを理由に挙げた。

例年、ラマダン明けの休暇には多くの人が帰省するが、保健省は先にハリラヤ・プアサの期間に移動制限を解除するかどうかは、新型コロナの感染状況に応じて判断すると説明していた。

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