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【香港】大湾区景況感さらに改善、見通しも良好[経済](2021/04/15)

香港貿易発展局(HKTDC)などが13日発表した、香港とマカオ、中国広東省から成る一大経済圏構想「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」対象地域の企業景況感調査によると、2021年第1四半期(1~3月)時点の景況感を示す「現状指数」は53.0で、20年第4四半期(10~12月、50.2)の前回調査から2.8ポイント改善した。工場の生産活動が停滞する春節(旧正月)期間を含んでいたにもかかわらず、新型コロナウイルスのワクチン接種拡大による世界経済回復への期待感などが押し上げ要因となり、先行きへの見通しも明るさを増している。

貿易発展局は英金融大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)と共同で「大湾区ビジネス景気指数(GBAI)」を算出している。調査の対象地域は、香港とマカオ、広東省の珠江デルタ9市(広州、深セン、仏山、肇慶、東莞、恵州、珠海、中山、江門)で、製造・貿易、卸・小売り、金融サービス、専門サービス、イノベーション・テクノロジー分野の主要1,000社から回答を得た。景況感指数は「改善」を100、「変わらず」を50、「悪化」を0として算出した数値で、50を上回れば業況感の「楽観」を、50未満は「悲観」を表す。

GBAIのうち、総合指数に当たる「ビジネス指数」の現状指数(53.0)は楽観を維持し、20年第2四半期(4~6月)の初回調査以降3期連続上昇した。ただ、「生産・販売」(44.8)と「利益」(47.3)の2項目は、前回調査より3.1ポイント、2.1ポイントそれぞれ悪化。「生産・販売」の悪化は春節前後の工場生産減速による季節要因とみられるが、「利益」の悪化はコスト高によるものと懸念されている。

調査時点から見て次期、21年第2四半期の景況感を示す「予想指数」は、前回調査から8.6ポイント上昇の62.7。構成要素8項目も全て上昇して60以上となり、現状より業況が上向くとの見方が強まった。

業種別で予想指数が最も高かったのは、前回から8.5ポイント上昇した「製造・貿易」(63.9)だが、「卸・小売り」(59.2)と「金融サービス」(58.7)もそれぞれ11.4ポイント、10ポイントの大幅な伸びを示して楽観圏に入った。「専門サービス」(44.7)は1.3ポイント改善したが悲観圏にとどまっている。

■香港の予想指数、初めて楽観圏に

ビジネス指数を都市別に見ると、香港の現状指数は37.3と悲観が続いたが、予想指数は前期から12.4ポイント改善の50.7で、調査開始以降初の楽観に転じた。

世界経済と結びつきが強い香港は、コロナワクチン接種の広がりを受けた世界経済の改善と連動してゆっくりとではあるが改善が見込まれる。ただ、向こう数カ月は失業率の上昇などが悪影響として残り、顕著な回復は年後半以降となるようだ。

一方で、前回調査でトップレベルに位置した広東省仏山が弱含み。現状指数は49.2と悲観圏に転落した。

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