【インドネシア】村田製作所、交通量データを4月に販売開始[IT](2021/03/25)
村田製作所は24日、インドネシアで4月から交通量のデータ提供サービスを開始すると発表した。独自に開発した交通量情報収集システム「トラフィックカウンタシステム」を用いて、インドネシアのパートナー企業を通じてデータを販売する。
同システムは、道路脇の電子看板や歩道橋などに専用デバイスのセンサーユニットを設置し、デバイス内のセンサーが通過車両の種類や、交通量、走行速度といったデータを計測する。カメラよりも優れた耐環境性能と、高い測位性能を持つ「LiDAR(ライダー、光による検知と測距)」技術をメインセンサーとして採用した。交通量のほかに、乗用車や大型車など車種情報を分類した交通データも取得する。実証実験を踏まえ、2020年1月から本格的に導入していた。
インドネシアではパートナー企業アグリシナール・グローバル・インドネシア(本社ジャカルタ)にシステム使用のライセンスを付与し、同社が現地の顧客企業にデータを販売、システムやデバイスのメンテナンスも行う。村田製作所はアグリシナールからラインセンス料などを受け取るビジネススキームを想定している。
村田製作所の広報担当者によると、データは主に、屋外向け広告を取り扱う広告代理店などの業界への販売を想定している。インドネシアをはじめ東南アジアの多くの国では交通情報の可視化が進んでおらず、視聴者層を考慮した屋外広告宣伝の手法が確立していなかった。村田製作所のシステムを活用することで、例えば平日の通勤時間帯にはビジネスマン向けの広告を行うなど、時間帯および車種情報を考慮した戦略的な広告宣伝が可能になるという。
さらに地域の交通量を分析することで、交通が活発な場所にショッピングモールを建設するなど都市計画策定の参考情報として利用することも可能とした。
広報担当者によれば、インドネシアでは首都ジャカルタほか主要都市(東ジャワ州スラバヤ、バリ島、西ジャワ州バンドンなど)に合計18基のセンサーユニットを配置している。
同システムはこの他に、気圧や雨の検知、振動、騒音といったデータも生成できる。データ分析により、二酸化炭素や振動、騒音を減らす対策に役立てるほか、洪水被害の多い地域では雨の予測や洪水発生の予知にも活用できる。
村田製作所は、今後はタイやマレーシアなど東南アジア諸国連合(ASEAN)に展開するほか、将来的には欧米への展開も視野に入れている。交通量データの販売事業の売上高は3年以内に数十億円、10年以内に数百億円規模を目指す。