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【マレーシア】ペナン空港内の新倉庫稼働[運輸](2021/03/15)

近鉄エクスプレスの現地子会社、近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)はこのほど、ペナン州のペナン国際空港内に新設した貨物倉庫を本格稼働した。旧倉庫を取り壊し新たに建設したもので、延べ床面積を以前の2倍以上に拡大、空港内にある2カ所の既存施設と合わせて保管能力を約2倍に引き上げた。新型コロナウイルス禍で需要が拡大した在宅勤務向けデジタル機器の主に北米向け輸出に対応していく。今後は倉庫業の各種認証を取得し、中・長期的に拠点の高付加価値化を目指す考えだ。

近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)がペナン州のペナン国際空港内に新設した貨物倉庫の外観(同社提供)

近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)がペナン州のペナン国際空港内に新設した貨物倉庫の外観(同社提供)

近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)の工藤悟社長は「グループ全体で『アジア発、北米向け(トランスパシフィックイーストバウンド=TPEB)』の取扱量拡大と非日系顧客の取り込み強化を掲げており、新倉庫の稼働もその一環となる」と説明した。新倉庫は総面積が1万735平方メートルで、うち8割強の9,059平方メートルが倉庫スペースとなる。

ペナン州は電子産業の一大集積地として最先端のハイテク企業や医療機器メーカーなどが進出しており、同社も電気・電子製品、半導体、医療機器、車載機器などの北米向け輸出が以前から活発だった。新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の普及により、北米などでさらにデジタル機器の需要が高まっており、新倉庫の稼働でこれに対応する。

■旅客便の貨物スペースを確保

マレーシア事業は収入ベースで航空貨物が65%、海上輸送が25%、残りを倉庫や陸路での国境輸送が占めるが、「(輸入などよりも)圧倒的に輸出が多い」(工藤氏)。事業形態は企業間取引(BtoB)となるため、企業・消費者間取引(BtoC)が柱の電子商取引(EC)の商流には直接絡まず、ドイツの物流大手DHLや米フェデックスといった同業他社とはすみ分けができているという。

工藤氏はコロナ下での事業展開について、「運航本数が大きく減っている旅客便の貨物スペースをいかに確保するかが鍵となる」と強調。従来、海上輸送が一般的だった医療用ゴム手袋などの個人防護具(PPE)も、仕向け先となる各国が調達を急ぐため、現在は航空輸送に切り替えている。こうした中、「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)発生以来、航空会社と交渉を続け、年間を通した航空機のチャーター契約などで安定的に輸送スペースを確保している」(工藤氏)のが近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)の強みとなっている。

実際、2020年度第1~3四半期(20年4~12月)の取扱量は航空貨物、海上輸送、倉庫とも前年同期比で2桁伸び、「中でも航空貨物の伸びが最も高かった」(工藤氏)。新型コロナの影響で苦境にあえぐ業種が多い中でも同社の業績は好調に推移しているが、マレーシアの新型コロナ対策や産業構造も味方したようだ。

■倉庫のハイスペック化を推進

マレーシアでは昨年3月半ばから、新型コロナ対策の活動制限令で企業の大半が事業活動を禁止されたが、日常生活に不可欠な業種として物流は活動が認められた。工藤氏は「昨年3~4月は取扱量が減少したが、5月以降は(活動制限令の)規制緩和に伴い急回復した」と振り返る。

また輸出立国であるマレーシアは電気・電子製品や半導体の生産が盛んな上、天然ゴムの主要生産国であることからゴム手袋の生産量は世界全体の6割を占める。これら製品の需要が世界的に高まったことが、同社の事業に追い風となった。

近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)はコロナ後を見据え、「倉庫のハイスペック化」を進めたい考え。倉庫業は「各種規格や認証、免許で機能を強化していくもの」(工藤氏)で、商材の需給動向を見極めながら、倉庫の高機能化を推し進める方針だ。既に品質管理システムのISO9002(国際標準化機構が定めた規格)や環境管理システムのISO14001(同)は取得済みで、一部の倉庫はハイテク製品のセキュリティー事項を満たす認証(TAPA)も得ている。医療機器や医薬品などの製品品質を担保する認証などの取得も視野に入れ、高付加価値化を目指していく。

<メモ>近鉄ワールドエクスプレス(マレーシア)は、スランゴール州プタリンジャヤに本社を置く。ペナン国際空港、クアラルンプール国際空港(KLIA)、スランゴール州シャアラム、ジョホール州ジョホールバルの国内4カ所に計6つの貨物倉庫を持つほか、イポーやマラッカ、ジョホールバル、クチンなど主要6都市に販売拠点を設置している。

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