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【ミャンマー】政変前に「権威ある人」へ私信、軍政が弁明[政治](2021/03/03)

ミャンマー外務省は2月28日、国軍によるクーデターに対する国際的批判への反論をあらためて発表した。外務省によれば、2020年11月の総選挙での投票不正問題について、国軍は当時の国民民主連盟(NLD)政権の「権威ある人」に私信を送り、対応を求めた。しかし、返答を得られなかったため、政権を奪取せざるを得なかったという。権威ある人の具体名は明示されていないが、NLD党首のアウン・サン・スー・チー氏を指す可能性もある。

クーデターに対する批判への外務省の反論は、2月21日に続いて2回目となる。外務省は、「国軍が憲法の規定に基づき、全権を担わざるを得なかった」経緯をあらためて説明。総選挙で大規模な不正投票があったとする国軍などの指摘を、当時の選挙管理委員会(UEC)が無視したと批判した。

軍選議員らはさらに、不正投票問題を協議する臨時国会や、国防安全保障理事会(NDSC)の開催を求めたが、連邦議会の議長や大統領により、不当に却下されたという。NDSCは、国軍と政府の指導部で構成される。NLD政権は、16年3月の発足以降、NDSCを一度も招集していない。

国軍は政府側の対応を受けて「権威ある人」に私信を送り、政府の最終的判断を求めたが、「何ら回答を得られなかった」。私信を送る際に国軍と交渉した政府側の代表者は、状況に理解を示し、「意思決定者」に報告を行ったという。

国軍はNDSCの開催を再度要求したが、政府は「大統領と議会に、(不正投票に関する)問題を処理する権限はなく、選管が解決すべき」と回答した。問題が解決されないまま、総選挙で選出された議員らによる初の国会が2月1日に召集されようとしたため、国軍は同日に全権掌握に踏み切ったという。

■「他国のクーデターとは異なる」

外務省は、一部の国際機関や外国政府、メディアが、経緯を理解せずに国軍の政権奪取を「クーデター」と呼んでいると批判。 国内で起きている政情不安を「反軍事独裁の運動」と表現していることも誤りと指摘した。

ミャンマー外務省によれば、一部の国では、暴力的な抗議運動に対して強制的な手段が用いられるが、国軍が設立した最高意思決定機関「国家統治評議会」(SAC)は、「最大限に抑制して、武力の行使を回避している」。SACは、国内法や国際法に基づき、犠牲を最小限に抑えていると主張した。憲法を廃止せずに、既存の法令に従って統治している点も、クーデターで誕生した他国の軍政とは異なると繰り返している。

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