スタートアップの資金調達・ビジネスマッチングサイト

【ミャンマー】市民が蜂起「軍政許すな」[政治](2021/02/08)

国軍が実権を掌握するミャンマーでは6~7日、軍事政権への「ノー」を突き付ける市民のデモが続いた。参加者の年齢層は若者から中高年まで幅広い。国軍側が6日から反発抑え込みのために行った、インターネットの遮断は解除されたが、民主化を願う人々は声を上げ続けている。最大都市ヤンゴンでは数万人が集結したほか、首都ネピドー、第2の都市マンダレーなどでも抗議活動が行われた。

市内の路上を埋め尽くすデモ隊=7日、ヤンゴン(NNA)

市内の路上を埋め尽くすデモ隊=7日、ヤンゴン(NNA)

ヤンゴンでは6日、クーデター勃発後で最大となる1,000人規模の抗議デモが、カマユ郡区レーダン地区で発生。7日になって複数カ所に広がり、規模も大幅に拡大した。20~30代の若者らが中心となり「軍政を許すな」と連呼。大学生や民主活動家らも集まり、拘束中のアウン・サン・スー・チー氏の肖像が入った横断幕や、大きなバツ印を付けた国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官の写真を掲げて行進した。

デモに参加した、縫製工場で働く男性のワイ・ヤンさん(25)は「生まれる前の過去の弾圧は知らないが、軍政の残虐な行いは親から聞いている。民主的な国を取り戻すまで諦めない」と言葉に力を込めた。デモは市内の複数カ所で行われ、夕方には中心部のスーレー・パゴダ付近に参加者が集結。抗議活動はヤンゴンのほか、ネピドー、マンダレー、中部バゴー管区などの地方都市にも飛び火した。

スー・チー氏の率いる国民民主連盟(NLD)の支持者を含む国民は1日以降、弾圧による事態の悪化を恐れ大規模なデモを行わず、NLDも路上など屋外での抗議活動を自制するよう呼び掛けていた。スー・チー氏やNLDの支持者はその代わりに会員制交流サイト(SNS)をフル活用。医療従事者による業務の拒否や国軍系企業の手掛ける製品の不買呼び掛けのほか、夜間に自宅で台所の金物を鳴らして抗議の意思を示す運動を全国に広げた。

「国軍拒否」の拡散にいら立ちを強めた国軍はSNSを4日から遮断し、6日には全てのインターネット網の停止を事業者に通達。7日午後2時から再開を許可したが、市内ではインターネットを使用した配車・宅配サービスが全面的にストップするなど大きく混乱した。また、依然としてSNSのフェイスブックやツイッターの遮断は解除されていない。

スーレーパゴダ付近で抗議運動に参加する市民ら=7日、ヤンゴン(NNA)

スーレーパゴダ付近で抗議運動に参加する市民ら=7日、ヤンゴン(NNA)

■「もう我慢できない」

インターネットが遮断された中、デモ行進があった地域の沿道は、口コミで情報を知った市民で埋め尽くされた。マヤンゴン郡区在住の女性(47)は「毎晩、鍋をたたいて抗議を表してきたが、もう我慢できない」と話し、一緒に訪れた家族と指を3本立てて空に突き上げた。この所作はタイの反政府デモ隊も使ってきた、独裁者への抵抗を示すポーズ。デモの参加者によると、スー・チー氏の解放と民主化の実現、軍政の終焉を意味しているとされ、連帯を示す「仲間の印」となっている。

オンラインで注文が受けられず、仕事がなくなった宅配サービスの自転車運転手が大挙してデモ行進に加わったほか、通行車両も三本指を立てた手を車窓から出し、長いクラクションを響かせて賛同の意を表した。

付近の道路は、ワイヤーを張った柵で封鎖され、防護盾を持った警察官が並んだが、今のところ制圧を目的とする国軍の現場介入は確認されていない。インターネットの遮断に加え、当局からの公開情報もないため、逮捕者の有無は定かでないが、現場で見る限り深刻な衝突は発生していないようだ。デモを支援するボランティアが「市民のための警察になってほしい」と、警察官に飲料水のボトルや花を渡す姿も見られた。

デモでは、配備された警官隊に「市民のための警察になってほしい」と花を渡す姿も見られた=6日、ヤンゴン(NNA)

デモでは、配備された警官隊に「市民のための警察になってほしい」と花を渡す姿も見られた=6日、ヤンゴン(NNA)

■この先の状況、見通せず

ただ、2007年のサフラン革命を含め、これまでに国軍の弾圧下での市民デモの取材経験がある地元記者は「負傷者が出るなど、流血に発展する衝突がひとつでも起きれば、民衆が現状のような平和的なデモを続ける保証はない」と話す。在ミャンマー日本大使館によると、在留邦人がデモに巻き込まれ、けがをしたなどの情報は入っていない。ただ、この先の不測の事態は排除されないとして、不要不急の外出を控えるとともに、安全に十分留意するよう呼び掛けている。

関連記事

公式Facebookページ

公式Xアカウント