【香港】行政長官の「協議」選出、親中派からも異論[政治](2021/01/25)
2022年に予定されている香港政府の次期行政長官選出に絡み、梁振英前行政長官が提起した「(選挙委員会による選挙ではなく)協議(話し合い)による選出」が、香港の親中派内部で論争を巻き起こしている。24日付明報が伝えた。
最大の親中派政党、民主建港協進聯盟(民建聯)に属する曽ギョク成(ジャスパー・ツァン、ギョク=かねへんに玉)前立法会(議会)議長は先週、メディアのインタビューに答え、話し合い選出を主張する梁氏を批判した。梁氏の論拠は、行政長官は現地(香港)で選挙または協議を通じて選出され、中央政府が任命すると定めた香港基本法(憲法に相当)第45条だが、それは部分的な解釈だと曽氏は主張。基本法45条については梁氏が持ち出した第1段落の後に、「香港特別行政区の実情と、手続きに沿った漸進の原則に基づいて定める」とした第2段落や、「具体的な選出方法は(基本法)付属文書1『香港特別行政区行政長官選出法』により定める」とした第3段落もあると指摘し、梁氏は第1段落のみを切り取って自説の根拠にしているとの見方を示した。
その上で曽氏は、行政長官の選出方法を選挙から話し合いに変更することは制度の後退・逆行であり、基本法45条第2段落でいう「漸進の原則」に反するほか、選挙委による選挙を明確に定めた基本法付属文書1と、同文書の規定に基づいた行政長官選出を定めた基本法45条第3段落の両方に違反すると断じた。曽氏は民建聯の前身、民主建港聯盟(旧民建聯)の初代主席を務めた香港親中派の重鎮だ。
曽氏の批判に対し、梁氏はフェイスブック上で反論。各回の行政長官選出が全て「漸進の原則」に合致しなければならないとは基本法には一言も書かれていないと主張し、各回の行政長官選出は基本法45条第2段落にある「香港特別行政区の実情」に基づくべきと、話し合い選出論の正当性を強調した。